デパートや和菓子屋さんなどでは、ひと際目が引く、季節の練り切り菓子。
私たち和菓子屋さんにおいて、ずば抜けて集客力を誇る、最強の客寄せパンダ的な存在です。
最先端の機械でも表現できない造形美があり、職人が手作業で作るので生産性が悪く、効率が悪い菓子です。
しかも、手を抜くとその部分が顕著に表れるので厄介です。(笑)
餡を練る段階から手間暇をかけてます。
正直言います。私の見解です。ほとんどの和菓子屋さんは、練り切りなどの上生菓子は売れてほしくないと思っています。
生産性や利益率が悪いので、他の和菓子を買ってもらいたいのです。
なので必要以上に値段も高くしている店も多いです。そういう事情もあるのです。
私は和菓子を身近に感じてもらいたいので、どうにか生産性を改良し、品質を下げず、値段を上げず
練り切りをつくることを日々、研究しています。
餡の製造ではなく、練り切りをデザインする記事はこちら
木型で抜くタイプの練り切りもあるがあんまり好きじゃない。ロマンがないんです。
前置きが長くなりました、研究した時の原点のレシピです。
数ある他サイトのレシピの中から、選んで頂いて本当にありがとうございます。
このレシピは働いていた店のレシピや、既存のレシピを改良したものです。
すごい時短になったり、効率的ではないとところもあると思いますが、 それでもプロが実践していて、美味しくなる理論や科学を基に手間をかけております。
最新の情報ではないこともあるかもしれませんがご了承ください。 また、理論があっていれば、他サイトさんのレシピでもできますので、そちらでも構いません。
何より美味しい和菓子を皆さんに召し上がっていただけたら嬉しいです
レシピ
〈練り切り餡〉
白並餡 1500g (100%)
水 300g (20%)
白玉粉 60g + 上白糖120g → 出来た求肥(8%)
水飴 70g
白並餡の作り方はこちらをご覧ください。
皆さん忙しいと思うので、市販の白こし餡でも大丈夫です!
〈中綿 (練りきりの中餡のことです)〉
小豆並餡 1000g
求肥 50g (練り切り餡のレシピでできた求肥を使用。)
水飴 30g
小豆並餡(こしあん)の作り方はこちらをご覧ください。
市販や和菓子屋さんで売っているものでもOKです!
作り方
衛生上の問題から、特別な場合を除き工場に機器が持ち込み厳禁。
その為、画像や動画がないものが多く分かりにくくて、本当ごめんなさい。でも本気で解説していきます。絶対に美味しくて、上質なものができます!
(求肥の作り方)
この工程が面倒な方は、白玉粉に水を加え、団子状に丸め、窪ませ、熱湯で茹でたものでも良い。
熱湯に入れて一回沈んで、浮かんでくれば加熱されたことになるのでOK。だいたい1分間茹でる。
- 白玉粉を分量外の水で溶く。
★ 少しずつ水を加え、一度全体がまとめる。(そうしないとダマになる)
再び水を加え、完全に溶かし、ドロッとした状態にする。 - 溶いた液を手鍋に入れて、弱火にかけて練る。
★ 焦げないような混ぜやすい手鍋を推奨。 - 焦げやすいので底から木杓子をいれていく。
- 火が通って、全体が固形化して光沢が出てきたら、上白糖を加える。
- 混ざったら、完成です。また加工するので、ここで固さなどは気にしなくてOK。
(練り切り餡の作り方)
- 白並餡と水を手鍋に入れて、少し余裕があって焦がさないような強火で練る。
- 餡が固くなってきたら、求肥を加える。
★ 餡がやわらかいうちに加えると、加熱時間が長くなり、餡が粘り、口溶けが悪くなり、
さらに焦げやすくなるので注意。 - 好みの固さに練り上がる直前に水飴を加える。
★ だいたい、餡を手の甲で触って、くっつかない程度に練りあげるのが一般的です。 - 作業台に小さく取り出して冷ます。餡の表面がすこし冷めて皮ばって来たら、一つにまとめて揉む。
★ 小さく小分けにして冷ますことで、冷却時間が短くなり、熱による色焼けを防ぐ。
★ よく揉むことで、餡に空気が入り白くより綺麗に仕上がるので、この工程は怠らない。 - 4の工程を3回繰り返す。揉みづらい時は、硬く絞った濡れ布巾の中でもみ混ぜるとよい。
全体が均一に冷めるようなイメージでもむ。
(中綿の作り方)
- 手鍋に小豆並餡と水を加えて、余裕があるが焦げないような強火で練っていく。
- 火が入ってきたら、求肥を入れてさらに練る。
- 練り切り餡と同じくらいの固さで練りあげる。
★ 同じやわらかさ = 同じ水分量 にすることで 練り切り餡で中綿を包んだ時に、水分移行しないし、食感の一体感が出る。
餡の水分量が違うと水分が移動し、乾燥し、ひび割れてしまいます。 - 小分けにして冷ます。粗熱が抜けたら、ひとまとめにして、乾かないようにラップなどして保管。
練り切り餡が美味しいお店
たねや 季節の上生菓子
上生菓子のほかにも超がつくほど、プロがおすすめの和菓子がそこにあります。
たねやは水にこだわり、風土の素材を大事にしております。
以前、カンブリア宮殿で社長のインタビューを拝聴しましたが、
菓子に対する真摯な姿勢と、働く方々への気遣いと敬意を持ち、企業としても素晴らしい会社です。
そういうものが和菓子の美味しさと美しさにも反映されていると思っています。
実際に、たねやのディスプレイや陳列なども勉強になりますし、正統でありながら、面白い創造力や
着眼点を持っています。
和菓子としても、企業としても、私は大好きです。そこで働きたいくらい。
友人がたねやで働いていますが、楽しそうです。
たねやの良さは語り切れないので、ここらへんにしておきます。(笑)
コメント