上火・下火の温度設定のでき、10斤サイズが入る大型のオーブンが必須です。
20クォート(14ℓ)以上の業務用のミキサーが必要です。
10斤の木枠 及び カステラの枠、鉄板が必要です。
カステラが作れる業務用のオーブンとカステラの木枠(ネットより)
一回のミスの一撃で菓子が崩壊する工程が多々あります。
和菓子屋さんで見かけるカステラはどうやって作っているのか?
家庭で作りたいという要望が多々ありました。
さっそく、自宅のオーブンやレンジでできる材料の配量にして
やってみましたが、
まあ、焦げるし、生焼けだし、ムズイ。
ネットで見かける 炊飯器を使ったカステラ~ とか
レンジで簡単カステラ~ とか
カステラもどきはたくさん作れそうだけど、
このサイトでは、プロの味を自宅で再現してもらい、
和菓子を知ってもらおうというのがモットーのなので
いい加減なことはできない。
結論
長崎カステラを家で作るのはかなり難しいです。
なので、当店の長崎カステラの作り方を
そのまま紹介しようと思います。
もし、自宅で長崎カステラができちゃったという方が
いたら教えて下さい。
カステラ (長崎カステラ)について
一般的に和菓子屋さんで見かけるカステラ(長崎カステラ)は、
約400年前にポルトガルから日本に伝わった西洋菓子です。
ここからカステラは全国に広まっていき、地域や店ごとで様々な作り方、特徴が見られます。
材料は 卵、砂糖、小麦粉、水飴とシンプル、オーブンで焼き上げた菓子です。
全国的にお土産で有名ですが、長崎県で消費が一番多い。
長崎カステラ 何が違う?
店によって違いはありますが、
はっきり言って、見た目も味も大きく異なります。
代表的なのが
【東京の文明堂のカステラ】、【長崎の福砂屋のカステラ】
がありますが、東京と長崎の違いが顕著に表れています。
東京のカステラは、あっさりとした上品な甘さが特徴。
生地がふわふわしていて、しっかりとしています。パンの様な食感ですね。
色味は薄く、底にザラメ糖はありながらも、主張は弱めです。
長崎のカステラは濃厚で甘みが強いのが特徴。
ふわふわでありながらも、かなりしっとりしています。
底にあるザラメ糖のシャリシャリした食感も強い。
生地の色味も長崎の方が若干、濃い。
両者、違いはあれど、時代を経てもずっと愛されている。
個人的には、長崎カステラが好きです。(笑)
レシピ 10斤 1枚分
全卵 3000g
上白糖 2450g
薄力粉 1250g
もち米飴 370g
水 330g
※ 骨格を作る小麦粉のぎりぎり量の配合です。
これ以上、減らすと骨格が崩れ、何回か生地が沈んでしまいました。
美味しいカステラが作りたいなら、
とにかく卵にこだわってください。
卵の風味・色味がとにかく全面に出る菓子です。
当店では、奥久慈軍鶏の卵を使ってます。
値段も少し高めですが、コスパはいいと思ってます。
その辺の卵とは仕上がりが全く違います。
冷蔵で販売されていない卵を使った場合は、それなりの味になります。
もち米飴 もち米を麦芽糖化・澱粉を麦芽酵素で糖化している。
保湿性(しっとり感)、味、風味、香りつけができる。
水飴にはない特性がある。
蜂蜜に置き換えられるが、蜂蜜より焼色がつきやすいので注意。
このレシピは当店のカステラのレシピをそのまんまです。
試行錯誤し、導き出した比率でございます。
当店の人気商品であり、私も認めている間違いなく美味しいカステラです。
再現性が難しい菓子で、技量がないとできません。
1回目でうまく焼き上げた方は、天才です。
しかし、繰り返しでコツさえつかめば、誰でも可能かと思います。
機材と環境がある方は是非作ってみて下さい!
作り方
生地をミキサーで混ぜ始めたら、手際よくこなしていかないといけません。
その前に、事前準備をきちんとしておくことがポイントです!
絶対やっておく事前準備
オーブン設定、 (生地が出来上がって、早くオーブンに入れないと生地は死にます)
カステラの枠の準備 (予備も作れば最高です。)
木枠を使用してください。遠赤外線の効果により、しっとりとした焼き色がつきます。
木枠は一番最初にいれる大きい1番枠、2番枠、3番枠を用意し、最後は枠の上に鉄板をかぶせて蒸し焼きにします。
1番枠の木枠には生地が全てつくので、生地が触れる面には隙間なく紙(パラフィン紙など)を貼ってください。
2番枠の木枠には生地が膨らんできて、側面が触れるのでその部分に紙(パラフィン紙など)を貼ってください」「。
3番枠の木枠には生地が触れるか触れないか位の高さになるので紙はいりません。
生地を流す目に、ザラメ糖をたくさん散りばめておきましょう♪
比重を計る準備 (初めての場合は比重を計ること。
計測したら、ミキサーボール内の生地の水位を覚えておく。次回からは、攪拌時に生地水位を目で見て判断)
調理器具の準備 (時間との戦いです。工程で必要なものを頭にいれておく)
生地をミキサーで 比重 0.4±0.03 まで泡立てます。
比重とは、水1g(1㎖)に対する他の物質の重さ
(例 水100g 醤油115g 比重1:1.15)
つまり、
水が100g(100㎖)ピッタリ入る容器に、生地を入れて、すりきりで40gになればよい。
※ 容器の重さはきちんと省く、ピッタリ入る容器がなくても、計算が入っていれば他の容器でもよい。
生地は泡立っているので、必ずすりきりではかる。
比重が低いほど泡立っている。
オーブン温度を上火 210℃(軟火) ・ 下火 160℃(極軟火) に設定。
生地が出来上がる直前に、オーブン準備が完了するのが理想。
生地工程
- 米飴と水を加熱して溶かす。沸騰直前に火を止め、
容器を水に入れて冷ます。
★ 沸騰させない、水分量が変わってしまう。
冷まさずに後の工程で加えると、グルテンが出やすくなる。
- 卵をミキサーボールに入れ、ホイッパーでほぐす。
★ 大量の卵を入れる場合は、たまにゴミや不純物、殻が入る場合があるので、
別の器に2,3個割り入れて、確認してからボールに入れると良い。 - ふるいに通した上白糖を加えて、ホイッパーで混ぜる。
★ 加えたらすぐに、混ぜないとフシになりやすいので注意。 - ミキサー高速で、12分位、泡立てる。
途中 10分くらいで、1の米飴液を加える。
★ ミキサーの規格でスピードが違うので時間の目安一概に言えない。 - 比重を計る。
- 比重0.4 ±0.05でミキサーを止める。
- ミキサーを低速で混ぜながら、ふるいに通した薄力粉を加える。
30秒~1分くらい混ぜる。
★ 混ぜながら、粉を加えないとダマになるし、溶けないので注意。 - 砂糖のふるい(10メッシュ)で裏漉しをする。
ダマを消すのと、気泡を揃える為に行う。
目が細かいふるいで行うと、気泡が潰れてしまう可能性が大。
★ 少し高めから、生地を落として裏漉す。その衝撃で泡の大きさを揃えられる。 - 生地を軽く混ぜ、オーブンに木枠を置き、そこへ生地を流す。
焼成工程 焼成時間 60分
オーブンにより温度やクセが大きく違います。
オーブン温度はあくまでも目安あり、参考程度にご覧ください。
ちなみに当店のオーブンは、(株)七洋製作所のオーブン(クリックでホームページに飛びます)
を使用しております。
(↑七洋製作所の公式のホームページより)
温度設定、火力設定、引き出し鉄板があり、多様な菓子の焼成に適していて、とても万能で秀逸です♪
修行先や、お菓子を学んだ所で使われて馴染みがありました。何より現場の職人の薦めもあって採用してます。
衛生上の問題から、特別な場合を除き工場に機器が持ち込み厳禁。
その為、画像や動画がないものが多く分かりにくくて、本当ごめんなさい。
でも本気で解説していきます。絶対に美味しくて、上質なものができます!
- オーブンにいれる。オーブンタイマースタート。(0分)
オーブン温度を上火 215℃・下火165℃に変更
泡切りに使う道具の準備、ゴムベラ等は水に浸しておく。 - 3分後、ゴムベラ、木べら等で泡切りをする。
最初の12分間に泡切りを3回行う。
(泡切り手順)
1,鉄板を手間に引き出して、生地全体に水霧を吹きかける。
2,枠に沿って外側から渦巻を描くよう中心部分に向かって、細かく短く
ゴムベラで生地の底を優しく掻く様に手間に向かって混ぜていく。
3、手早くオーブンに入れる。
※ 3回目の泡切りの最後に、定規の様な木べらで生地を平らにする。
枠を出し入れする時は手早くながらも静かに、生地に衝撃をあたえない。
★ 泡切りはカステラの超重要工程です。これでカステラが決まるといっても過言ではありません。
★ 生地の下に沈んだ蜜を起こし、かつ、大きな泡を消して泡を揃えて、上下を入れ替えるのが目的です。
もっと細かく言えば、卵黄と卵白の温度を一定にさせて、分離させない事です。
★ 泡切りがうまくできてないと、場所によって膨らみ方にムラがあったり、肌理が粗くなったり、層ができたりします。
下に沈んだ蜜の層が焼き上がってしまい、固形化し、そこから下火が入らなくなり分層してしまいます。
★ 泡切りの回数は泡立て具合で異なります。泡立てない→2回、泡立てすぎた→4回
★ 時間がオーバーしても、最初の時間から換算してください。 - 泡切り終了(開始から12分経過)
色付けスタート。 上火230℃ に変更
途中、天地(反転させ、焼きムラをなくす)
★ 色付けのときに温度が低いと、表面に白い斑点ができるので注意。
★ 色付けの時に、大きな気泡があり、浮いてくると、黒い丸い焼き目が出来てしまうので、
泡切り時にしっかりと消しておくこと。 - 色付け終了 (開始16分経過)
2番枠と、薄い鉄板をかぶせて、蒸し焼きにします。
焼き色を付けすぎた場合は、厚い鉄板をかぶせて、上火が入らないようにする。
蒸し焼きスタート 上火190℃ 下火145℃ に変更 - ガス抜き、天地 (32分経過)
前後を入れかえるように枠を反転させる。
かぶせている鉄板をとり、3番枠と厚い鉄板をかぶせる。
★ こもっている蒸気を逃がして、膨らみ方を安定させる。
蓋を取る = ガス抜き。
★ 出しいれをする時は衝撃を与えないように静かに手早く行う。
衝撃により、沈んでしまう場合があるので気をつける。 - 10秒くらいガス抜きをする。膨らみ方をみて判断・観察 (42分経過)
- 焼き上がり、オーブンから取り出す(55~65分経過) 1時間以上はパサつくので注意。
表面を触って弾力があったらOK。
また、対角をたたいて、対角が揺れてもOK。 - 木枠から取り出す。
- 板(硬く絞った目の細かい布巾付き)で生地を反転させる。
このとき、板を少しおしつけて、高さを調整する。 - カステラが冷めたら、カステラ包丁でカットし、仕上げる。
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