※ このページは季節の練り切り菓子を作る基本・基礎を学ぶ、超重要な記事です。
練り切りを作ったことがある人も、参考になるかもしれないので是非ご覧ください。
練り切り餡・中綿作り方はこちらの記事です。
解説なしの季節の練り切りの作り方だけの動画はこちらの記事です
正直にいうと、内緒にしておきたいです。
和菓子屋の立場というものが。。。(小物感)
和菓子屋さんの定番で、よく目にする季節の上生菓子と言えば
何を思い浮かべますか?
上生菓子とは、
献上用、お茶会用などに使用される上等な生菓子のことである。(生菓子=水分が30%以上の菓子)
職人の技術・感性が表れる菓子です。一つ一つ手作りで作り、出来上がった菓子には「菓銘」という名前がつけられる。
和菓子のコンテストや品評会でよくみかけるやつです。
「練り切り」「きんとん」「雪平」様々な形態のものがありますが、
一般的に「練り切り」が圧倒的に多いです。
そして、「練り切りのモチーフ」と必ずされて、
どの和菓子屋さんでも、季節ごとに必ず店頭に並んでいる
といっても過言ではない練切があります。(個人的な見解です)
それは、春の「桜」、初夏の「楓」、
秋の「紅葉」、冬の「梅」 です。
今回、紹介しようと思ったのは、
これらの作り方をマスターすれば、練り切りの作り方の視野が広がり、
多分野で生かせることが間違いないからです。
そのうちの基本基礎が詰まった「楓」「紅葉」の作り方を分かりやすく紹介していこうと思います。
その前に、
内緒にしておきたいワケ。
なぜ、この作り方をあまり教えたくないのか
結論、結構な確率でこの技術を習得できます。
そして、和菓子屋さんより上手くなって、
和菓子屋で買わなくなります。(笑)
「和菓子屋さんより上手くなるはずないだろ」と思うかもしれませんが、
経験を積めば、誰でも和菓子屋さんよりうまくできますよ!
あと、和菓子職人は男性が多いですが、
女性の方が手先が細くしなやかで美しく、
練り切りなど細かい細工に向いているには事実です。
でも、和菓子作りを家庭でも楽しんでもらいたい。
もっと皆さんに和菓子を知ってもらいたいので、正直に正しくお伝えします!
作る上で得られる嬉しいメリットがあります。
すぐに実感できる訳ではありませんが、後々、力がついているのを実感できます。
メリット
・いろいろな形の練り切りが作れるようになる!
・菓子作り・料理・ハンドメイドなどでめちゃくちゃ生かせる!
他にもメリットがあります。
私や仲間が強く体感できたのは、この2点です。
説明していきます。
いろいろな形が作れるワケ
この練り切りの形をつくる時に、様々な手の動かし方・造形技術が必要となります。
比較的、「楓」は手間暇のかかる図案です。
1つの和菓子を仕上げるだけで、かなり効率的にスキルアップができるのです。
習字に例えると、基本技術が全て詰まった「永」という文字を書くようなものです。
実際、私は
師匠から「この楓を作って、練習しろ」と言われ、
練習用の練り切りで、たくさん作って覚えましたよ。数千個は作ったでしょうか(笑)
確かにいろんな種類の練り切りが作れるようになった。。
何よりも、どうやって作ってるかだいたい想像ができるように
なったし、スキルアップを実感できて、めっちゃ嬉しかった。
一般的には「もみあげ」「細工ヘラ」「色のぼかし方」
「線入れ」「手型仕上げ」「布巾しぼり」などの技を使いこなします。
作り方はもちろん、十人十色。型で抜いたり、お店ごとに作り方は異なります。
ですが、だいたいはこの作り方をしていると思います。
この技術が身に付けば、和菓子屋さんの店頭に並んでいるような
美しい、たくさんの種類の練り切りの
モチーフ(図案)はできるようになると思います。
お菓子作り、料理、他のジャンルで生かせるワケ
現在、私は和菓子職人ですが、ハンドメイドの物を作って出品しております。
料理も大好きでよく休日は手の込んだものを仕込んでおります。(笑)
しかし、
「もともと手先が器用で料理好き」というタイプではなく、
「不器用で、仕事以外は調理したくない。」という感じでした。
もうね、休みの日はどこか出かけて体を動かすか、ぼーっとしていたんですよ。
でもね、今は最初に言った感じになってる。
なぜかっていうと、
私の様な不器用でも、繊細な練り切りをたくさん作っていると 嫌でも慣れていく。
(商品として出せるまで、慣れるまでが一番しんどいです。幾度となく指導されたことか)
たくさんこなすことで、結果的に上手くなって、自然にものづくりができるようになる。
そして、好きになる。このサイクル。
シンプルかつ当たり前だけど、これが超重要。
根本的に苦手で、脳的に無理だと感じる場合はやらないほうがいいです。
「苦手かもしれない・自分にできるかわからない。」
そういう場合はとりあえず、やってみることをおすすめします。
意外とできたり、好きになったりするチャンスが多いのでおすすめです。
新しい自分を見つけるきっかけにもなります。
即行動することで考える不安や恐怖心がなくなります。
最終的には、練り切りなどの上生菓子の品評会コンテストで入賞したからね。
「ぶきっちょの私でも、できるのか」と信じられなかったけど、自信がつきました。
しかも、結構、 スピード・段取り力が高い水準で求められるから、そのスキルも習得できる。
そのスキルが料理やお菓子作りに生かせないワケがない。
そして、今度は料理を
作る → 上手くなる → 好きになる → またやろう!
この繰り返しなんです。当たり前でシンプルなんですが。
あと、料理は味だけじゃなくて、
依然とは考えられないほどに見た目も気にするようになるよ。(笑)
あと、たくさん手を動かしているので、ありえないほど脳が活性化します。
色んなアイデアが生まれてくる実感が湧くと思います。(これはガチで凄い)
もちろん、練り切りだけでなく、他のことでも力はつきます。
あくまで私の場合なので、他に興味があることや好きなことがあったら、そちらを
取り組んでみたらいかがでしょうか。
練り切りについて
練り切りの日持ち
練り切りの糖度・塩梅によりますが、
一般的に常温で 夏 は 3日間 、冬 は 5日間。 冷蔵庫で 7日間 でしょうか。
やはり、出来立てが、一番美味しいです!
保存する際は、乾燥しない冷暗所におきましょう。
(重要)練り切りを作る時、注意すること!
基本中の基本です。良い職人さんは、必ず心がけていると思います。
以下の点を守れば、より良い和菓子に仕上がります。
・ 手を清潔にする
仕上げ後に加熱しない為、雑菌のリスクがある。
細かいほこりや、服の繊維が他の菓子より、めちゃくちゃ目立つ。
・ 少ない手数で、効率よく。
手の熱による変色・乾燥。味が落ちる。
・ 練り切りと中餡を同じ塩梅にする
同じ水分量だとの水分の移行がなく、ひび割れるのを防げる。
・ 風に当てない、布巾などをかぶせて、乾燥させない。
特に、冬場は乾燥しやすい。乾燥すると、細工した際、ヒビ割れる。
レシピ
練り切り餡・中綿をご準備ください!
※ (作るのが大変な方)
和菓子屋さんで練り切り餡・中綿は、聞けば売ってくれるかもしれません。
(私の店ではお客様に言われたら、あれば売ります。1gあたり3円くらいで)
製餡所でも、作っている所があるので探してみてください。
練り切り餡の作り方はこちらを記事を参考にしてみてください↓
(青楓 1ヶ分)
緑色の練切 25g
白色の練切 5g
中綿(中餡) 15g
(紅葉 1ヶ分)
赤色の練切 25g
黄色の練切 5g
中綿(中餡) 15g
※ 中の餡は、通常の小豆並餡(こしあん)でも、作れます。
中綿とは、練り切りと同じように求肥などの「つなぎ」を入れて練り上げた餡。
食べたときの塩梅や食感や口当たりが良くなる。
練り切りと同じ塩梅にすることで、水分移行がなくなり、ヒビ割れたりすることを防ぎます。
これらのメリットを得られなくなります。
今回は、「青楓」と「紅葉」は 同じ形での紹介です。
色で違いを表現しています。
人の感性によって、色や形に違いがあります。この楓はあくまで、一例にすぎません。
あなたのイメージする自分だけの練り切り・和菓子を作ってみて下さい。
数ある他サイトのレシピの中から、選んで頂いて本当にありがとうございます。
このレシピは働いていた店のレシピや、既存のレシピを改良したものです。
すごい時短になったり、効率的ではないとところもあると思いますが、 それでもプロが実践していて、美味しくなる理論や科学を基に手間をかけております。
最新の情報ではないこともあるかもしれませんがご了承ください。 また、理論があっていれば、他サイトさんのレシピでもできますので、そちらでも構いません。
何より美味しい和菓子を皆さんに召し上がっていただけたら嬉しいです。
作り方 (動画)
動画での作り方の紹介です! (表示されない方は、YouTubeでanko man で検索!)
他の練り切りの作り方も紹介してますので、是非参考にしてみてください。
- 緑色練り切り、白練り切りを張りぼかしにする。
★ 色違いの練り切りを張り合わせて、その合わせ目をさすってぼかす。 - 中綿(中餡を包む)。
★ 饅頭・大福とは違った包み方。全体的に均一に包むこと。
薄いところは餡が透けてしまう。 - 「もみあげ」をする。
★ 練り切りの表面を板に押し付けて、剥がし取る。輪郭の淵を触れないように
輪郭の下の部分を手の平で、丸偏平にする。 - ヘラなどで葉の切れ込みを入れる。
- 葉先を指を使ってつまみ出す。
- ヘラなどで葉先に切れ込みを入れる。
- 針などで葉脈をいれる。
★ 力を抜きながら、手前に引く感じで。そうすると綺麗です。
練り切りの色・ぼかし方 について
練り切りに色を付けるときは、色素を使います。
色素には 天然 と 合成 の着色料があります。
ですが、 以下の点から
和菓子屋さんのほとんどが合成の着色料を使用しています。
・天然着色料 ・・・・ 植物(くちなし)や 虫(コチニール)などが代表的。
メリット 希少で高価であるが、自然志向を好む現代に有利。
人工物を使わない宣伝効果が狙える。
デメリット 合成に比べると、熱や光に弱く、冴えた色が出にくい。
変色リスクがある。
・合成着色料 ・・・・ 人工的に作られた着色料。自然界には存在しないもの
そのまま使える練りの着色料、水で溶いて使う粉末の着色料がある
メリット 発色性が良く、綺麗な色が出やすい。
薬品などを混ぜて作るので、安価。使い勝手がよい。
デメリット 化学薬品の添加物なので、体に良くない。
使用を制限している国もある。
ほぼ90%位の和菓子屋さんでは合成の着色料を使用してます。
使い勝手がよくて安いし、持つので、そりゃ選ぶよね。
だだし、保健所などで使用に関してのガイドラインが厳しくなってきているので、
使いしすぎているところは良くないです。
色のつけ方・色の作り方
着色のやり方は 天然着色料・合成水溶き・練り着色料も同じです。
※ 店によってやり方はことなるが、ほぼこのやり方。
直接、練り切りに着色料を加えて、手で折り込むように揉み込んで色をつけます。
加える量や、練り切りの塩梅に気をつけて着色していきましょう。
(色をつける時の注意点)
・着色すると、しばらくすると濃くなるので、ほんの少し薄めに着色するとちょうどよい。
照明が当たる場所に置く場合 → 時間の経過で色飛ぶので、少し濃い目に着色する。
・着色する前に練り切りを少し揉み込んで、乾燥した皮張りをとり、全体を馴染ませる。
表面が乾いた状態で着色すると、皮張りに色がつき、だまになりフシになりやすい。
・水溶きの色素や、水分が多い色素を使う場合。軟らかくなりすぎないように注意!
・色素の容器の中に練り切りが入らないようにする。
カビが発生し、色素が使えなくなる。
(超重要!ここで差がでるよ!)
メインとなる色を先に着色しましょう。
後に補色する色をつけると
思い通りの色が出しやすいです。
(例)→ 青っぽい紫色を出したい時
1・先にメインとなる青色を練り切りに揉み込んで着色する。
2・1に赤色を揉み込んで着色して調整する。
色の作り方の一例です↓ あなただけの色を表現しましょう。
紫 色 = 赤 と 青
小豆色 = 青 と 黄 と 赤 = 赤 と 挽茶
本紅色 = 赤 と 黄
黄味色 = 黄 と 赤
緑色 = 赤 と 青
挽茶色 = 青 と 黄 と 赤 = 緑 と 赤
色のぼかし方
練り切りに色をつけて、準備万端!
さあ!いざ、作ろう!
包んでいく時に出る、色のぼかし方を紹介します。
包み方で色のぼかしが、変わりますので必見です!
注意点・包み方別に解説します。
(ぼかす前に注意点)
・ぼかす色違いの練り切りを同じに塩梅(やわらかさ)にする。
同じ水分量・やわらかさの方が色がぼかしやすい。違うとぼかしづらい。
これしないと、後で後悔するよ!
私も忙しい時に、これを無視したせいで、
色はぼかせないわ、作業性が悪くなるわ、散々な目にあいました(笑)
(ぼかす時の注意点)
・手を清潔に、固く絞った布巾でふきながら作業する。
手に練り切りがくっついてしまったり、作業性が悪くなる。
(練り切りあるある)
白い練りきりに手にくっついていた赤の練り切りがつく。
特に包んでいるとき、くっつきやすいので要注意!
くっついて、ピンセットで取り除いていたあの頃(笑)
(部分的にぼかす包み方)
(例)桃の練り切り 本紅 5g 白 5g 白 15g 中餡 10g
- 赤・白の練り切りを同じ分量(5g)をとっておく
- 白15gを丸く平らに広げる
- 2の真ん中を指や棒などで窪ませる(向こう側が透けて見える位)
★ 貫通しないように注意。 - くぼみに赤5gをいれて、白5gで蓋をして、中餡を包む。
- くぼませた部分がぼけます。くぼませ方、いれる量で色の出方が変わります。
(全体的にぼかす方法・包みぼかし)← 一番使われる技
のばし加減、包み加減で色が決まる。
(例) 菊 白15g 本紅15g 中餡(中綿) 10g
- 白を丸く薄くのばし、本紅を白で包む。
- 1を丸く薄くのばし、中餡を包む。
★ 均一に包めていないと全体が均一にぼけない。あえてそうする事もある。
(張りぼかし、境界をぼかす方法) ← 本編の楓や紅葉のぼかし方です。
(例)桜の練り切り 白 15g 本紅 15g 中餡 10g
- 本紅の練り切りを手前に引きのばす。
- 白を本紅の手前にのせ、全体的にすこし平らにのばして、くっつける。
- 2の色の境界面を指でこすってぼかす。
★ このこすり加減・ぼかし加減でだいたい決まります。 - 裏返して、中餡(中綿)を包む。
★ 包んでいるときに、手にくっついたり、色が伸びたりしないよう気を付ける
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