皆さんは、仙台名物の「萩の月」をご存じですか?
おそらく、日本で一番売れている蒸しカステラだと思います。
見た目はまん丸のお月様のような形、生地はやわらかくて、しっとり。
中身はたっぷりの口でとろけるクリーム。
聞いただけで食べたくなっちゃうような、ちょっと洋風な和菓子です。↓

「萩の月」菓匠三全のホームページで、詳しく知りたい方はご確認ください。
さて、今回はこの「萩の月」の様に とても美味しい人気の蒸しカステラを取り上げました。
実際の和菓子屋で使われていたレシピと作り方を紹介していきます。
レシピ
★ 今回は卓上ミキサーや、ハンドミキサーの使用を推奨します。
手での泡立ても可能ですが、気泡の肌理を揃える&作業性を考えると機械の方が効率的で塩梅良く仕上がる可能性が高いです。
★SP(気泡剤)はなくても、大丈夫です。
この和菓子は空気をたくさん入れて、気泡を抱え込ませることによりやわらかく、膨らみます。
気泡は時間と共に潰れていきます。
そこで気泡剤を加えて、安定させることが目的です。自宅では和菓子屋の様に大量生産するわけではないので、
手早く作っていけば、それほど影響は出ません。
★少量仕込みたい場合は、このレシピの比率を変えずに半量を下限としてください。
それ以上、少なく仕込むのは塩梅をとるのがとても難しくなります。
★蒸し器は流した生地がなるべくたくさん入る大きめのものを使用してください。
気泡剤を使用しない場合、泡立ててから、蒸す前の生地の放置時間が長いと泡が潰れ、安定して膨らまなくなります。
直径8㎝位の円形に生地を流します。蒸すと直径13㎝位に膨らむので、くっつかないように注意。
(使う道具)
卓上ミキサーかハンドミキサー。
木杓子・ヘラ・ボール(容器)、蒸し器、クッキングシートかセパレート紙、
絞り袋、ハサミ、シリコンカップ、カップ、その他
(蒸しカステラ生地)
全卵 250g
上白糖 220g
白こし餡 20g
蜂蜜 5g
本みりん 25g
イスパタ 3g
エステルSP(気泡剤) 5g なくてもOK
薄力粉 170g
(中餡)
フラワーペースト または カスタードクリーム
※ フラワーペーストは市販のものでOK。
※ 中餡を入れた後に蒸す工程がある。カスタードクリーム(小麦粉・コーンスターチが骨格)は美味しいが、使用すると硬くしまったり
生地に穴が空いたりするので、特別な配合なカスタードクリームでなければ、フラワーペーストの方が無難。


数ある他サイトのレシピの中から、選んで頂いて本当にありがとうございます。
このレシピは働いていた店のレシピや、既存のレシピを改良したものです。
すごい時短になったり、効率的ではないとところもあると思いますが、 それでもプロが実践していて、美味しくなる理論や科学を基に手間をかけております。
最新の情報ではないこともあるかもしれませんがご了承ください。 また、理論があっていれば、他サイトさんのレシピでもできますので、そちらでも構いません。
何より美味しい和菓子を皆さんに召し上がっていただけたら嬉しいです。
作り方

衛生上の問題から、特別な場合を除き工場に機器が持ち込み厳禁。
その為、画像や動画がないものが多く分かりにくくて、本当ごめんなさい。でも本気で解説していきます。絶対に美味しくて、上質なものができます!
- 卵をミキサーボールに割り入れる。
★ 共立て方法(卵白と卵黄を分けずに一緒に泡立てる)で行い、粉を混ぜるときに気泡の調整をする - 上白糖とSP(気泡剤)を加えて、中速で3分位撹拌する。
★ 気泡剤が入ると、グルテンが出づらくなり、泡立ても楽。安定して消えづらくなるけど、
卵や他の材料の風味を消してしまうので大量には使用したくない。 - 低速で混ぜながら、蜂蜜・みりん・白こし餡を加える。
- 混ざったら、低速でそのまま、水10gで溶いたイスパタを加える。
- 混ざったら、中高速にして泡立てていく。
- 泡立て具合は、生地を掬って、垂らし「の」字がはっきりと書けるくらい。
メレンゲで言うと5~6分立て位が良いと思う。 - ミキサーボールを使用していた場合は別のボール(容器)に生地を移し替えて、
篩った薄力粉を加えて、木杓子やヘラで織り込む様に優しく手早く混ぜていく。
★ この工程で気泡の調整を行っている。大きな泡だけを消し、小さく揃った気泡は潰さない。
★ ホイッパーではやらない。泡が潰れやすく、せっかく揃えた気泡の肌理がばらつく。 - SP(気泡剤)を使用していた場合は生地を30分休ませる。
使用していない場合は10の工程へ
★ SPの力で1時間ぐらい生地を放置しても崩れない。 - 蒸し器にクッキングシート、またはセパレート紙を敷く。
生地を絞り袋にいれて、直径4㎝くらいに紙の上に1つ流す。
5分位試し蒸しする。
★ 肌理が粗ければ、生地を混ぜて泡を消す。そうすると、肌理を細かくする。 - 蒸し器にクッキングシート、またはセパレート紙を敷く。
絞り袋に生地を入れる。 - 敷いた紙の上に、「の」字を書くように直径8㎝くらいの円形に生地を絞っていく。
膨らむことを考えて、生地と生地の間隔6~8㎝くらいあけて流す。
後で生地をまた流すので、半量残しておく。 - 中火から強火で5~6分蒸す。
★ 強すぎると、膨らみ方や肌理が粗くなります。弱すぎると膨らみません。この辺はうまく
その蒸し器にあった調整をするしかありません。 - 12を紙から剥がしとり、シリコンカップやカップに敷き入れる。
そこへフラワーペーストを20~25g位、中心に絞りのせる。 - 残りの生地を13の上に覆いかぶせるように流し入れる。
- 再度、中火で15~18分蒸す。
★ 家庭の蒸し器で調整してください。小麦粉に火が入り生でなければOKです。 - 生ではないか蒸し上がりを確認し、蒸し上げる。
- はみ出た生地などをハサミでカットし、まん丸にして完成です。
私が考える本当に正しくて、美味しい和菓子について
今回は、気泡剤を用いた蒸しカステラの作り方を紹介いたしました。
気泡剤という添加物を使用することで美しい見た目にでき、作業効率も向上させることができます。
しかし、デメリットとして、他の素材の風味を失います。
失った風味を補うためにまた、添加物を加える・・・ その繰り返しです。
果たしてこれが正しいかどうかは、私たち消費者が考えなければなりません。
添加物なしの生活は難しいですが、当たり前ではありません。
私が思うに和菓子における添加物は、極力、自然由来のものでなければならないと思います。
お菓子を手にとって見て、裏面の材料表記を見たときに、その材料が自然界にあるか、
どうやって作られているか分からないものは極力加えるべきではないと思います。
それは、先人たちが気候風土に合わせて、創意工夫をして作って伝えてきた
和菓子という伝統を崩していくと思うからです。
添加物をなくすことはできませんが、極力減らして、正しい和菓子を伝えていきたいです。
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