いつも見ていただきありがとうございます。
今回は、漉し餡と栗を多く使い、素材の特性がめちゃくちゃ出る和菓子です。
枠に流し込んで、長時間蒸し器で蒸す工程があるので、道具の準備をお願いいたします。
蜜漬けの栗を購入しなければならないので、比較的にコストがかかることをご了承の上、ご覧くださいませ。
また、自分で蜜漬けの栗を作っても全然OKです。蜜漬けの栗の作り方は後日解説してきたいと思っております。
秋になるとなんとなく、栗の和菓子って食べたくなる時ってありませんか?
ちなみに私はないですよ(笑)。普段、味見で食べ過ぎているので見たくもありません。(笑)
狭い工房から逃げ出して、一刻も早く小布施のモンブランが食べたいです。
まあ それはさておき、
今回は、栗を使った人気の和菓子 ‘‘栗蒸し羊羹‘‘ を 職人のレシピ手帳から紹介していきます。
好みはありますが、日本人大多数が好きなやわらかく、
歯切れの良い栗蒸し羊羹にしていこうと思っております。どうぞよろしく!
レシピと作り方は下の方にあるので、今すぐ作りたい方はそちらへGO!
そもそも栗蒸し羊羹とは?
栗蒸し羊羹と言えば、栗が表面にたくさん敷き詰められて
生地はやわらかく、栗を引き立てる優しい甘さと食感が特徴。 シンプルながらも手間暇とコストがかかるので
専門店やデパ地下とかで買うと、それなりの値段はします。高級な和菓子です。
さて、栗蒸し羊羹、いや蒸し羊羹とはそもそもなんぞやっていうことですが、
小麦粉や片栗粉を使っている。蒸して固めていること。他のようかんとは違い、もっちりとした食感が出ております。
さらに、この和菓子の基本のレシピは
餡 100 : 粉 10 : 砂糖(糖分) 10
の割合です。学校、専門書、職人さんに聞いてもおそらく同じ答えでしょう。
とてもシンプルで素材の質が表れやすいので良質なものを使いましょう。
蒸しようかんの賞味期限は、そんなに長くないです。早いもので3日。真空保存や包装を工夫したり、添加物加えても、
長くても3週間くらい?だと思います。
栗蒸し羊羹は日持ちしない和菓子なので、購入時は注意が必要です。
美味しい栗蒸し羊羹は添加物を使っていない。あまり日持ちもしないものを選んだ方が、私的には良いと思います。
蒸し羊羹の歴史は、 水羊羹などの練り羊羹よりも古い!?
蒸しようかんは、羊羹の中でも歴史が一番古いといわれております。
羊羹が日本に伝わったのは鎌倉~室町時代。
中国から日本へ伝わったときには甘いお菓子ではない。
漢字で「羊羹」と書いた通り、羊肉を使ったスープのような料理だったそう。
(羹(あつもの)= 肉・野菜を入れた熱いスープの意味。)
禅宗では肉食禁止の為、羊肉の代わりに小豆や小麦粉を混ぜ、蒸し固めたものをスープに入れていたようです。
その蒸し固めたものが、現在のようかんの始まりと考えられています。
当時は砂糖が高級品だったため、味付けには甘葛などの甘味料を使用し、小豆を小麦粉または葛粉と混ぜて作る蒸しようかんが主流でした。
水羊羹などの練った羊羹はいつできたかというと、
18世紀には砂糖が国内で流通、砂糖の使用が一般家庭にも普及。
江戸時代後期には、寒天を使用した練りようかんが誕生。
蒸したようかんよりも日持ちするので、練りようかんが様々な場面で色々と作られるようになります。
現在ようかんと聞くと、水羊羹などの練ったようかん。虎屋の羊羹の方をイメージする方が多いと思いますが、
実は「蒸しようかん」の方が歴史が古いのは意外でしたよね。蒸し羊羹から進化して生まれたのが羊羹だなんて。
今でも蒸しようかんは昔ながらの製法で作られているお店が多いようです。
蒸し羊羹と練り羊羹は呼び方は似ていても、
材料・作り方が大きく違いので説明するまでもありませんね。
ポイントを押さえて一緒に美味しい栗蒸し羊羹をつくっていきましょう!
ちなみに練り羊羹・水羊羹の作り方は↓に記載しておきますね。
レシピ
(生地) 25㎝×25㎝×6㎝ の 枠1枚分の配合 (容積3750㎤)
※ 好きな枠を選び(蒸し器に入るサイズ)の体積を計算し、それに合わせて配合を計算して下さい。

(25㎝)木枠のものもある。底がないので紙や布巾を敷く
小豆並餡(こしあん) 1500g
薄力粉 150g
岩塩 2g
栗蜜(糖度50) 290g
蜜漬けの美味しい栗 450g位
水 適量
片栗粉 20g
※ 固い食感を出したい時は餡を硬くしたり、
強力粉を使用して、強い粘性を出します。固いものの中へ粉を入れた方が
より硬くなります。
※ 片栗粉は食感と歯切れを良くするために加えております。
調整してもOKです。入れすぎると老化しやすいので注意。
葛粉でも可能です。独特な食感が出て、面白いですが、冷凍ができなくなります。
※ わらび粉を餡に対して10%くらい加えると粘りが強く美味しいです。2,3日持ちします。
※ 栗は蜜漬けの栗を使用してください。(ミョウバン不使用のものを推奨)
ミョウバンは発色剤。見た目の色は良いが、薬品臭いから。
※ こしあんは並餡を使用してください。(並餡とは、生餡に対して55~60%加えて練った餡のこと)
こしあんは作るのが大変な場合は、専門店や市販のものでもOKです。1g/2円くらいでだいたい買えます。
こだわって作りたい方はこちらの漉し餡の作り方の記事を参考にしてみて下さい。

数ある他サイトのレシピの中から、選んで頂いて本当にありがとうございます。
このレシピは働いていた店のレシピや、既存のレシピを改良したものです。
すごい時短になったり、効率的ではないとところもあると思いますが、 それでもプロが実践していて、美味しくなる理論や科学を基に手間をかけております。
最新の情報ではないこともあるかもしれませんがご了承ください。 また、理論があっていれば、他サイトさんのレシピでもできますので、そちらでも構いません。
何より美味しい和菓子を皆さんに召し上がっていただけたら嬉しいです。

作り方

衛生上の問題から、特別な場合を除き工場に機器が持ち込み厳禁。
その為、画像や動画がないものが多く分かりにくくて、本当ごめんなさい。でも本気で解説していきます。絶対に美味しくて、上質なものができます!
- ボール(容器)にこしあん(並餡)に薄力粉を加えて、
粘り(グルテン)が出るようによく揉み混ぜる。
★ 最初にして、最大のポイントです。食感や硬さがここでほぼ決まります。 - 手鍋で熱した蜜(60℃位)を2回に分けて加え、更に手で揉み混ぜる。
★ 1回目に軽く少量加えて馴染ませて、2回で全部加えて混ぜていく。
★ 熱するのは、粘りを出しやすくするため。 - 水で溶いた片栗粉・食塩を加えて、混ぜる。
★ 塩が入っている餡を加熱すると‘‘えぐみ‘‘が出るので注意。 - ボールをゆすると生地表面が平らになるくらいの塩梅(固さ)に調整する。
- 枠に硬く絞った目の細かい濡れ布巾を敷き、四隅をきれいに敷き込む。蒸し器にセットする。
※ セパレート紙を敷き込んでもよい。
★ 側面もきっちり敷き込むと取り出しやすくていいですよ。 - 生地をゆっくり流し込み、ボイラーまたは家庭用の蒸し器で、
1時間中火位の圧力・火力で蒸す。火力調整はなかなか難しいかもしれないです。
★ 蒸気(圧)が強すぎると、穴があく。 - 蒸し上がったら、表面のヌメリをゴムベラなどでとり、
表面に二つ割(2つにカットした)の栗を少し埋め込むようにして、並べていく。
再度、同じように3~10分蒸す。
★ ヌメリをとるのは、栗が接着しやすくする為。
★ 栗を最後に入れるのは、最初から加えてしまうと、蜜が出て、白くなりポロポロになってしまうから。
最後に殺菌を兼ねて加える。 - 蒸し上がったら、風に当てないよう蓋などをにして冷ます。
★ 風に当たると、乾燥により栗から蜜がでる。そうすると水分移行により全体が縮んでしまう。 - 冷めたら、4.5㎝×3㎝、または好きなサイズにカットして完成です。
※ 表面に艶天(餡の入らない羊羹(艶出し用))を塗ってからカットして仕上げても良いです。
職人も好きな栗蒸し羊羹が 超絶 美味しい店。
松島屋(東京 泉岳寺) 栗蒸し羊羹 1本 時価 (だいたい2200円~2700円)
※ ホームページが見当たりませんでしたので 「食べログの記事」 を記載しておきます。
冒頭で買わなくても美味しくできると紹介しましたが、
この店の栗蒸し羊羹は異次元レベルの別格です。
しかも、この店の豆大福は日本三大大福と呼ばれるほどの人気。
どうやって作っているのか考えても、同じように作れません。
今まで食べた栗蒸し羊羹では一番好きです。
絶対に食べた方がいいです!
「私はあまのじゃくなので、他人が薦めた奴なんて、なんか嫌やわ。
美味しそうだけど、何か認めたくないし、みんなが好きだけど、私はええわ」
私もそんな感じでしたが、今となっては
「そんなこと言ってる場合じゃねえ、
これ食べたことのない時間と人生がもったいないから早く食べろ」
って過去の自分に強要するでしょうね。(笑)
本当に美味しいものを食べることで食に対する価値観が
見方が変わってきます。いい経験にも、幸せにもなります。
好きすぎるので、別のページにも生地を載せています(笑)
ちなみに予約しないと買えません。
秋の和菓子なので9月位から予約できるのかな?って
思っていたら、8月の半ばくらいから予約開始です。受け取りは9月半ばくらいかな?
その年の栗や材料入荷状態で販売時期や値段も異なりますが、2019年に購入した時は2200円でしたよ!
美味しい過ぎて、高級なのに3本位買ってしまいました。余裕で一人で食べれちゃいます。
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