気になる方がいるかもしれないので実際の和菓子の現場を正直話していこうと思います。
+和菓子屋の一日の流れや、雰囲気、就職する際の注意点を解説していきます。
まず、初めは調理学校卒業後、初めて就職した和菓子屋さんでのことを話します。
あの頃は、本当世間知らずで、若いからできた。今は絶対無理。
私が調理学校卒業後に、はじめて、就職した和菓子屋さんのお話です。
一流の和菓子職人を目指し、志高かった20代。
若さと体力だけがあったあの頃、まだまだ青く、精神論と根性だけで耐えたあの頃、
何も知らなかったあの頃、次第に病んでいきました。。。
はじめに
和菓子屋さんのリアルな日常をありのまま話します。
これからお話する体験談は、全て事実です。
過去の2006年~2012年の話です。
現在はどうなっているかわかりませんが、体制が変わることはあまりないと思います。
特定されかねないので、店名など詳細は伏せます。
学べた点も得たことも多いですが、下調べや準備不足で結果的に失敗した就職だったと思います。
和菓子へ転職する際は、こうならないように参考にしてください。(笑)
和菓子へ就職する前に必ず知っておかないと損をする記事をいくつかありますのでそちらもご覧ください。
⇩また、現在、私の和菓子職人の1日・和菓子屋の実態と年収の記事があります。
興味がある方は是非どぞ♪
職場の雰囲気
所在地 | 南関東とだけ |
創業 | 40年くらい |
従業員 | 家族・親族経営(親族5人 + アルバイト2名、正社員3名)男7人 女3人 |
事業内容 | 和菓子の製造販売(店舗兼住居内で製造、販売) 駅のショップにおろしたり、お祭り、イベント、百貨店などにもたまに出店。 |
広さ | 40坪くらい?イートインスペース少しあり |
特色 | 自家製の季節の和菓子、朝生・中生・上生菓子。菓子の種類30種類くらい。 幅広く扱っており、和菓子の組合、団体にも所属しており、新商品の開発なども常におこなっているので、勉強になることは多いです。 メイン商品は伏せておきます。 助六寿司や主食となるものも、少し売っております。 |
客層 | ローカル線の駅近であり、住宅街のため、高齢者がメイン。 |
価格帯 | 地域価格より、やや高め |
設備 | 餡練機、餅つき機、包餡機械、冷凍庫4機、冷蔵庫2機、団子製造機、オーブン2機 ショーケース4台、レジはアナログ、冷蔵ケース1機、出入り口2か所 |
営業時間 | 朝8時~19時くらい |
定休日 | 週に1日(平日) |
人間関係 | 親方、若旦那ともに昔ながらの職人。緊張感はやばい。 失敗すると叱責がやばい。常に愚痴が蔓延していたので環境はよくない。 失敗が怖いので常にびくびくしていました。 |
よくある普通の和菓子店ですが、設備も充実しており、古さはそこまで感じないです。
親方が研究熱心で、修行中の身としてはとても勉強になります。
ただ、家族経営なので性格や、相性がわるいと最悪です。
親族経営や人間関係に悩んだ時はこちらの記事をご覧ください。
給料明細と待遇
働き方改革以前のものですが、現在もこういう待遇で人を雇っているお店は多いです。
修行させて、学ばせてやってやるんだから我慢しろというばかりです。
勉強、修行と割り切って当時は働いていましたが、けっこう過酷なため、
途中で倒れてしまいました。
耐える事だけが美徳だと思っていた当時の世間知らずの私の末路です(笑)
出勤日数(1か月30日と想定) | 27日 (週休0・9日) |
就業時間 | 6時~20時 (昼休憩40分)+残業あり |
給与 | 12万円 (ここから健康保険料、年金を引かれます)残業代は出ません |
賞与 | なし、年に一度寸志1万円 |
保険 | 労災、雇用保険 |
就業状態 | 正社員 |
一か月労働時間 | 378時間 |
休日 | 年休60日 夏休み3日(最終日は半日出勤)有給なし 連休ほぼなし 休日出勤あり。 |
福利厚生 | 特になし。お昼ご飯があるくらい。 |
制服 | 制服は一人上下2着。自分で洗濯して管理します。 仕事の衛生作業で次亜塩素(漂白剤)をたくさん使うので、 ほぼ不可避で、はねるてすぐに色落ちします。 |
修業期間 | 6年 入社時に期間を決めて、満了後は次の修行先にいく 次の修行先に行くことに対してのフォローは一切なし。 調理学校がフォローしてくれて次の修行先を見つける。 |
今では考えられないのですが、修行中なので何とかこれでやってきました。
家賃は3万円で、ぎりぎりの生活でしたね。貯金なんてありません。
求人票との乖離がエグイです。東京駅の京葉線ホームくらい離れています。
こんなブラックな職場だとは思いませんでしたが、当時は精神修行と言い聞かせ、乗り切りました。
一日の流れ
5時40分 | アパートから自転車で出勤 (親方の出勤前にシャッターの前で兄弟子と待機) 遅刻したら、即クビです(笑) |
6時 | シャッターが空き、すぐに着替えて支度(自衛隊並に早い着替えです) |
6時05分 | 仕事開始、一年目は店舗内を掃き掃除したり、雑用、ケースを拭いたり、和菓子の仕上げ作業、商品の陳列、電話対応、先輩の補助、配送する和菓子の準備など、ありえないほどのタスクを抱えます。開店は9時ですが、その前に店に入ってくるお客さんがいるので対応しなければなりません。 |
9時 | 開店。一年目は店頭に立ち接客や、店頭を管理します。 二年目以降は工場に入り、製造補助的なことをします。 |
12時20分 | 昼食。準備は新人の仕事です。時間内に準備片付けを行います。早食いの癖がつきます。 よく噛まないので、消火器系がやられます。 食事中も店が混雑したら応援に出ていかなくてはなりません。 |
13時 | 引き続き、店頭で接客対応する 接客対応だけでなく、包材や店の管理、注文等など、色々なタスクを常に抱えている。 店が汚いと女将や親方に怒られます。 |
19時 | 閉店。商品を冷蔵庫に下げる。 団子や朝生菓子は日持ちしないので廃棄したり、一部分を取り除き、加熱して再利用したりする。早く帰りたいので、スピードは速い。 |
20時 | 早く帰りたいのに雑談を始めるのが家族経営の悪いところ。帰れないムードを出す。そして、 閉店なのに、お客さんが来たがったら、対応しなければならない。 お客さんが来たら、本来は喜ぶべきだが、心の中では悪魔が来たと思っています。 |
20時30分 | 帰宅。疲れたときはすぐに寝ます。 自炊する気力はないので、スーパーの半額弁当 などを買います。制服を洗ったり多少の家事をしなければなりません。 |
23時 | 就寝 |
仕事に慣れてもなれなくても、基本的に余裕はありません。
常にタスクを抱えており、同時進行でこなさなければなりません。
店が繁盛しているというより、人手不足の忙しさでした。
やりがいと楽しさ
激務ですが、お客さんに喜んでもらえたときはこちらもうれしいです。
この修業は接客と製造両方の仕事ができるので、スキルがつき、仕事の視野が広がります。
製造の人が接客の人の気持ちがわかることは
本当に大きなメリットです。
後々に影響するので、これは学んでおいたほうが良い点です。
出店などがあり、人と交流できることも多々あり、所属している団体あり、経験できることも多いです。
作っている菓子の種類や、親方が研究熱心なので、こちらも勉強になります。
あと、体力がめちゃくちゃつく。
労基に守られた周りの友達とのスタミナの差はやばい。
30代後半ですが、シャトルラン130回ぐらいは余裕です。
辛いところ
精神的にやられる。私は終盤ストレスで2か月ほどドクターストップを受けました。
慣れないと体力的に厳しいですし、本当に和菓子の勉強と割り切らないと続けることが困難です。
待遇、人間関係に納得いかなければ地獄です。
接客も製造も技術が必須です。接客の場合は包装スキルなど、下手だとボロクソに言われます。
製造は失敗が許されないムードが常にあり、ピリピリしております。緊張感はマックスです。
家族経営だと誰が一番正しいのか、やり方もばらばらで誰かに合わせると誰かから文句を言われたり、
理不尽な目に合うこともあります。
4年目以降は後輩ができ、さらに板ばさみに合います。
まとめ
就職する時に気をつけることは
就職した後、こんなはずではなかった。と思ったら
学べることがたくさんあるが労働環境が過酷の場合は、和菓子の勉強だと割り切ることが超重要。
過酷な割に学べることがあまりなかったら、すぐに逃げた方がいい。
あと、こんな過酷な環境じゃなくてもたくさん学べて、ホワイト企業の和菓子屋はたくさんあります!
経営学を学ぶことも立派な修行です。
ブラック和菓子屋では反面教師にするしかありません。
命や体が大事ならさぼることも、逃げることも重要です。
公表されていませんが、和菓子業界は自殺率も他に比べて高いです。
耐えることが美徳だと思い込んでいる人、特にこの業界には多いので、
就職する時は、経営方針や考え方をよく下調べしておく。
ブレない芯がないと私みたいに最終的にはストレスでやられてしまいます。
休日はストレス発散できる何かが必要です。体のメンテナンスは超重要。
大丈夫だと思っても、副交感神経が乱れているので、何か症状が出たときは手遅れな時があります。
ただし、仕事に慣れないうちは、休日は寝て終わることもあります。
ずっと室内で太陽の光を浴びずに働いているため、私は休日は登山してリフレッシュしてました。
次回、都内 有名店での修行編へ続く
コメント
こんにちは。なかなか入手できない情報をありがとうございます。
現在アラフォーなのですが、和菓子への興味が募り、現在住んでいる地域で和菓子の修行をしたいと思っています。地域内に数店舗の和菓子屋があるのですが、どの店も求人等は出していません。実際に修行のお願いをする場合に、どのように話を切り出せばよいものでしょうか。
店頭でレジの方にいきなり話しをしても困惑されそうですし、電話で用件を伝えるのも失礼にあたるのでは・・と。飲食業界の修行について、入口部分のマナー・常識がよく分からないので教えていただけないでしょうか。また、お店の内情を知ってから店を選んだほうがよいとのことですが、どのように内情を探ればよいのでしょうか?
ご覧いただき本当にありがとうございます。
返信が遅くなってしまい、誠に申し訳ございません。
内容拝読させていただきました。
①話の切りだし方の 結論から申し上げますと、ハナメさんが、「なぜのそのお店で働きたいか」によります。
「和菓子の修行をして、いずれは和菓子のお店を開きたい」「ずっと和菓子に携わって行きたい!」と言う本気ならば、お店に行って直接話すのが良いかと思います。
私だったら、空いている時間帯、平日のお昼過ぎあたりに伺い、(清潔感のある身なりが一番大事)
店員さんに「求人にありませんでしたが、こちらのお店では働き手を募集していないでしょうか?」と話をします。
「こちらで和菓子の勉強をしたいと思っています」
「こちらの○○がとても好きで、このお店で修業がしたいです」など、そのお店ではないといけない理由を挙げて下さい。
誠意が伝われば、考えてくれるかもしれません。
有名店あるいは繁盛店で、声をかけるタイミングは難しいと思いますが、こちらの本気度を見せれば、お店側も真摯に対応してくれると思います。
逆に、粗雑に扱われたら、そのお店では働かない方が良いかと思います。
昔の職人さんなんかは、「いきなり来て、何だお前は!?」と言うかもしれませんが、今はそんなことないと思います。
和菓子屋としても、「修行をしたい!」と言われたら嬉しいものです。
マナーは、一般的な社会人のマナーがあれば十分です。
しいて言うならば清潔感のある身なり、はっきりした口調、迷いのない言動です。
ただ、和菓子に携わるアルバイトしたいという感覚なら、求人情報をまずは探して見て下さい。
求人がなくても、電話をすれば、話が進むパターンもあります。
②内情について
内情は絶対に知ってからお店を選んでください。とてつもなく勉強したい魅力ある和菓子や、師匠がいて、どうしてもここでないといけないと割り切るなら別です。
大分減ってはいますが、今なおも、労働基準法違反、パワハラなども当たり前です。
特に家族・親族経営は注意してください。外部の人がはいらないのでやりたい放題です。
これはあくまで、個人的な経験に基づく意見です。ですが、傾向は強いです。
お店に足を運ぶ、買う。話をするのが定石です。
ホームページなども見て下さい。SNSなどを活用しているならば、口コミなどを見たり、投稿してお店と話したり、コミュニケーションが取りやすいです。
全国和菓子協会、和菓子団体に所属している場合もあります。そこに問い合わせて聞いてみるという手もあります。
また、繁忙期などに超短期のアルバイトなどの募集をしているケースもあるので、それで少し働いて見るという手もありかもしれません。
お金と時間があるならば、専門の製菓学校など通うというのも手です。
昼間部は学費と時間がかかってしまいます。なので、夜学などを通って、基本基礎をつけ、学校に修行先を斡旋してもらうというのも手です。
こちらは、修行経験のある理解のある先生が多く、内情も知っている方と話ができたり、あなたの性格・技術に見合った先を選んでくれるので、確実です。
ここでは、書ききれないほどあります。少しでも疑問があったら、いつでもご相談下さい!
返信遅れて申し訳ありませんでした。