水羊羹より糖度の高い羊羹、いわゆる本練羊羹について解説していきます。
※ 水羊羹のレシピはこちらの記事をご覧ください。
職人がじっくりと炊き上げた小豆の上品な甘さと、なめらかな舌触り、
口で溶けてなくなり、いつまでも残る豊かな小豆の餡の風味。
材料は 寒天、水、砂糖、餡 とシンプルながらも、
和菓子の中で老若男女問わず、人気がある羊羹。
糖度が高いため日持ちもします。手土産として最適ですね!
虎屋の羊羹が有名ですね。とても美味しく高価で和菓子界のプライスリーダー的な存在です。
その羊羹に近い味が自宅で出せるとしたらどうでしょう?
作るしかないですね!(笑)
基本にして、簡単にできる最高に美味しい羊羹の作り方を解説していきます。
結論
結論:餡と水が美味しいければ、店に負けない味が出せます。
羊羹を占める成分の割合はほとんど水分と餡です。
そこが美味しければ必然的に美味しくなります!
注意しなければならない工程もあり、素材の良さを台無しにする前に、
その点を抑えて作っていきましょう!
羊羹について
なぜ 羊(ひつじ)羹(あつもの)という?
あんこがぎゅっと入って、少量なのに高カロリー、保存食としも重宝されている羊羹。
真空パックなら、常温で1年以上持つ優れもの。万能スイーツです!
日本の定番としての羊羹はかつて、中国の料理でした。
羊の羹(あつもの=熱いお吸い物)と羊のお肉を煮込んだスープだったのです。
これが冷めるとゼラチンが固まり、あんかけや煮こごりになりました。
↓
鎌倉~室町にかけて、中国の禅僧によって日本へ伝わりましたが、
日本の禅宗ではお肉を食べることができなかったため、羊のお肉をあずきと見立て、
作られるようになりました。これが羊羹のはじまりです。
↓
初期の羊羹は、小麦粉や葛粉を用いた蒸し菓子でしたが、材料が高価なので甘葛を使用したり、砂糖を使用したりして、現代の羊羹の形へと変わっていきました。
諸説ありますが、これが有効な説だと思います。
使う材料について
寒天
寒天にはいくつか種類があります。ざっくりと説明します。
糸寒天や角寒天などの自然でとれた天然寒天。
これは海の天草を主原料とし、固めて凍らせ、乾燥させてたものです。
凝固力を調整したりできる人工的に作った工業寒天は、使う用途に合わせて使用できます。
種類 | 基準量 | ゼリー強度(4㎜押し上げるのに必要な荷重、強度や粘着性) |
糸寒天 | 7.5~8g | 400~600g/㎠ 透明感と弾力があり上質 |
角寒天 | 1本(7.5g) | 280~300g/㎠ 透明感が弾力があり上質 |
工業寒天 | 6g(製品による) | 30~ 2000/㎠ 凝固力は強いが透明感にかける |
天然の寒天は50倍の水をかかえる能力を持ちます。
岐阜・長野・奈良・福岡が主な原産地です。
冷蔵庫より、常温で固めた方がしっかりと固まります。
関西では水分が多い羊羹、関東ではしっかりと歯型のつく羊羹が好まれていると思います。
寒天をいれてから、たくさん混ぜると、寒天のコシが抜けてしまい、凝固力が弱まるので注意!
寒天は酸性のもの(レモン汁など)を加えて煮ると、
その特性から固まる力が弱まってしまいます。
加えるときは、必ず火を止めて、工程の最後の方に加えましょう!
寒天の事を究めたい人は 長野県の伊那食品 または同社のかんてんぱぱに問い合わせ下さい。
かなり詳しく解説が載ってます。説明してくれます。
水について
羊羹は水分が多い和菓子なので、できる限り美味しい水をつかいましょう!
ただし、アルカリ水では寒天は溶けないので注意。
アルカリイオンが寒天をコーティングした状態になる為。
餡について
羊羹は餡の風味が顕著に出ます。おいしい餡を炊き上げて使用してください。
ですが、作るのが大変なので専門店や市販のものでもOK!
小豆の漉し餡が口当たりも良く、寒天と絶妙にマッチしますが、粒あんでも白餡でも何か味をつけても
大丈夫です!
小豆の漉し餡の作り方の記事はこちら
レシピ
羊羹舟一枚分 36×18×H3.6㎝ 容量2000ml の配合です
糸寒天 27g
水 900g
グラニュー糖 1000g
小豆並餡 1800g
水飴 100g
※ お好みの容量に合わせて、レシピの比率を変えてください。
※ 鬼ザラ糖や白ザラ糖があった場合はそちらを使用してください。
グラニュー糖より、餡の風味が引き立ちます。
グラニュー糖を白ザラ糖と同じ大きさにすると表面の汚れが多く、味がけっこう変わる。
寒天は一晩水に漬けてから使用してください。(10時間漬ける)
布巾などにくるみ全体が浸かるようにしてください。
浸水不足だと、寒天が加熱した時に水に溶けないで、本来の能力を発揮できない恐れがあります。
小豆のこしあんの作り方はこちらの記事をご覧ください↓
作り方
衛生上の問題から、特別な場合を除き工場に機器が持ち込み厳禁。
その為、画像や動画がないものが多く分かりにくくて、本当ごめんなさい。でも本気で解説していきます。絶対に美味しくて、上質なものができます!
- 寒天を水に一晩漬けておく。(10時間推奨)
★ 全体が浸かるように布巾でくるんで漬けておくと良い - 寒天を水洗いし、一度ザルにあけ、水を切ってから鍋に入れる。水を加えて強火加熱。
★ 火の強すぎて、火の先端が内容物の高さを超えると、その境界が焦げたり、シャリ(糖化)してしまうので注意。 - 木杓子でほぐし、沸騰させる。
万が一、寒天が溶けない場合は水を加えて、沸騰を止めて溶かす。 - 完全に溶けたことを確認したら、砂糖を加える。溶けるまで、底を混ぜる。
★ 寒天が完全に溶けていないうちに砂糖を加えると、寒天が溶けずに残ってしまう - 砂糖が完全に溶けたら、一度、中身を取り出して、ふるいで裏漉しをする。
★ 溶け切れなかった寒天や異物を取り除く。残っていると口あたりが悪くなる。 - 再度に強火にかけて100℃~102℃まで煮詰める。だいたいでOK!
ここから可能なかぎりの強火、焦げない程度の撹拌で短時間で煮詰めることがポイントです!
混ぜすぎると寒天のコシが抜ける、空気が入り、白っぽくなる口当たりのよくない。
焦げると苦みが発生。台無し。長時間煮詰めると餡の風味がなくなる。 - 餡を小分けにして、加える。
★ 餡は最初から入れると風味が損なわれるので最後の方に加える。
- Brix糖度62~65で水飴を入れて、Brix糖度65で火を止めて、容器に流す。
糖度計がない場合は鍋の中で羊羹を木杓子で掬い、垂らしてみて、「の」字がぎりぎり書けて
すぐに消えていくくらいの塩梅で仕上げるとよい。
★ 煮詰めすぎたり、餡が溶けなかった場合は水を加えて、再度調整する。
★ 流す前に、容器を硬く絞った布巾で拭く。水気が少しあると固まった後取り出しやすい。
★ 容器に流すと気泡が表面に浮かんでくるので、固まらないうちに串などで潰す - 自然に冷まし、固まったら、容器から取り出して、好きな寸法にカットして出来上がり。
★ 羊羹舟一枚分だと季節にもよるが、だいたい3時間くらいでかたまる。
和菓子職人から見ても、本練羊羹が美味しいお店。
言わずとしれた虎屋の羊羹。羊羹と言えば虎屋である。
手間暇かけて、職人が作った羊羹は格別。もう何もいうことはない。
歴史も古く和菓子界のプライスリーダー的存在でもあり、和菓子のブランド、価値や文化の発展に
著しく貢献しています。
羊羹に目が行きがちだが、残月と呼ばれる生姜を使った焼菓子や他にも美味しい和菓子がたくさんあります。
本社にある虎屋文庫などでは和菓子の歴史や書物などが豊富にそろっており、一般公開することもあります。
興味がある方は是非立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
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