↓下記の動画は私の和菓子屋の実際の柏餅の作り方です。
要点を踏まえれば、家庭でも美味しく作れるので一緒にやっていきましょう!
家庭ではつくれないんじゃない?って思いますよね。
確かに完全に再現するのは難しいかもしれません。
しかし、柏餅やだんご、大福を作る時に和菓子屋と家庭で違いが出るのは、
専用の機械があるかないかです。
あとは技でカバーできます。
機械の穴を埋めるために工夫すれば、和菓子屋に負けないくらい美味しいものができます!
まずは主原料の上新粉を捏ねた後に蒸す機械です。
和菓子屋ではボイラーを使い圧倒的な水蒸気熱と圧力で
短時間で大量に蒸すことができますが、
家庭でも蒸し器があれば、大量にやるわけではないので代用が可能です◎
問題はもちを搗く工程です。ここでほとんどすべてが決まります。
蒸しあげた後に、その後に、美味しくうまく作るには、↑の動画の様に
生地の熱が抜けない短時間で、生地を搗いてコシ(弾力)出し、滑らかにする必要があります。
そのため、機械の搗き機は和菓子屋では必須なんです。
もっと言うと、完全自動の機械より、動画の様に人の手で生地を返す
搗き切りの搗き機が良い。
家庭で行う場合は、餅つきの道具か、臼や丈夫な器で生地を搗きまくれる
何かを用意してください。
私は自宅では、濡れ布巾に挟んで麺棒で叩きまくってます。
いいですか、短時間で米の粒子を潰す感じで、叩いてコシを出してください。
細かい水加減もありますが、家庭ではある程度で限界があります。
それでも、十分家で美味しくできます。
蒸し上がったら、搗きまくってください。そこがうまくいけば成功します。
レシピと作り方の前に、柏餅について解説!
柏餅について
柏餅に込められた願い
端午の節句に柏餅を食べる理由は、柏の葉は新芽がでるまで、古い葉を落とさないことから 「子孫繁栄(家系が途絶えない)」という願いをこめているそうです。
葉に食物をのせるのは古来の器の名残でもあります。サンギライの葉を用いる地方もあります。
冬の時は木は落葉して枝だけになっている中、柏の木は 枯れた葉をしっかりと枝にまとっています。
その姿から、生命の意志を感じるほど力強いものです。
柏餅は、柏の葉の爽やかな香りがします。香りが移った生地からは、新緑の季節、初夏を感じます。
色や形について
柏餅の形は扱うお店によって、さまざまで決まりはありません。
自分が子供の時に食べたものが、強く印象として残っている形や見た目になることが多いでしょう。
しかし、柏餅の形を意識して見てみると、色々な形の柏餅があることに気づくことでしょう。
- 丸い型
- 中心部が高く、全体的に平たく、綴じ目が見えない。作りやすい。
生産効率抜群、レオンなどの包餡機による大量生産に多い
- 中心部が高く、全体的に平たく、綴じ目が見えない。作りやすい。
- 兜のような型
- 兜のような、蛤の貝殻のような形
- 中心が少し高くなっているか、平たい。個人的にはこれが一番多い形だと思う。
菓子店のこだわりや意志を感じる。同じように再現するのが難しい。
手で仕上げているので、表面に手のしわなどが
少し残っていて、それがまた趣深い。
人によって手の形が微妙に違うので、基本的に同じ職人が仕上げていることが多い。
新人や見習が行うと変な形になるので、「ぎょうざでも作っているのか?」と揶揄
される
- 三日月型:
- 中心が少し高くなっているが、 分厚い花びら餅のような形。
生産効率がよく、見習の職人でも安易に作れるので、町の和菓子屋に多い。
- 中心が少し高くなっているが、 分厚い花びら餅のような形。
- 独特な木型
- その店の特有な形。木型で抜く。生産性の悪さから、めったに見かけない。
生産効率や、形によって難しさが違うので、お店の意向に形が反映されています。
- その店の特有な形。木型で抜く。生産性の悪さから、めったに見かけない。
他にも五角形、亀甲型、きんちゃく型など、本当に様々です。
その形の数だけ、きっと込めれられた意味があります。
機会があると聞いてみるといいかもしれません。
色や中身について
基本は、こしあん、つぶあん、みそ餡が多いです。
白い柏餅 → こしあん
よもぎ生地の柏餅 → つぶあん
ピンク色の柏餅 → みそ餡
あとは地域の特産物を扱った餡など(山形県 ずんだ餡 長野県 そばの餡)
餡が苦手な人にも食べてもらいたいと、餡以外も入れているお店もありますよ!
柏餅の葉について
加工の違い
色の違いは、主に加工の違いです。
茶色っぽい葉 : 1度乾燥させて保存。使う前に蒸して殺菌したもの
緑色っぽい葉: 加工せずに真空パックで保存したもの
江戸時代までは 旧暦の5月(今の6月頃)に端午の節句をおこなっており、大きくなった 緑の葉を使っていたそうです。
時代が進み、現代の暦で使用。
しかし、端午の節句の5月頃、柏の葉の新芽はまだ小さく、柏餅に使えない。
そこで、柏の葉を乾燥して保存するようになったそうです。
その後、技術が発達し、あざやかな緑色の真空パック保存ができるようになった
現代は緑色と茶色の葉は両方が流通
和菓子屋さんにより、餡の種類を見分けるために、茶系と緑系の葉を使い分けているお店もあります。葉の色によって、見た目の印象も違い、香りも違います
葉っぱに柏餅の生地がつかないように、砂糖漬けする店も
柏餅を食べるときにどうしても、生地が葉っぱにくっついて食べづらい経験ありませんか?
※ 柏の葉 筋がつるつる → 主に、この面に柏餅をのせて巻きます。種類によって逆の面にのせて巻く場合もあり
時間経つにつれ、葉の水分が抜け、葉が乾き、粘りと弾力のある生地がくっついてしまうからです。
その為、和菓子店では様々な対応をとっております。
柏餅の葉を砂糖液に浸す | 砂糖の保水性により、葉の水分が抜けづらくなる。 |
柏餅の葉に植物性油脂を塗る | 水切りという乖離油をうすーく葉に塗ることでくっつかなくなる |
水気を葉に残し、早く食べてもらう | 水をあまりきらずに、くっつく前に早く食べてもらう。 |
一般的に柏餅を食べる5月5日の端午の節句、GW中であるために
美味しい和菓子店は忙しく行列ができていたり、品切れがあるかもしれません。
和菓子店が言うのもなんですが、5月5日に和菓子屋に並ばずに、作ってしまいましょう!
レシピ 約15ヶ分 生地35g 中餡20g
(生地)
上新粉 500g
美味しい水 400g
片栗粉 15g
柏の葉 なくてもOKです。
中餡(漉し餡、粒あん)
忙しいと思うので和菓子店や市販のものでもOKです!
つぶあんの作り方とこしあんの作り方はこちらの記事を参考にしてください。
今回は味噌餡でやってみます!
中餡(みそ餡)
白並餡 200g
水 40g
白みそ 30g
※ 白並餡(白餡)の作り方はこちらをどうぞ
※ 中餡は20gに分割して、丸めて餡玉にして先に準備しておいてください。
数ある他サイトのレシピの中から、選んで頂いて本当にありがとうございます。
このレシピは働いていた店のレシピや、既存のレシピを改良したものです。
すごい時短になったり、効率的ではないとところもあると思いますが、 それでもプロが実践していて、美味しくなる理論や科学を基に手間をかけております。
最新の情報ではないこともあるかもしれませんがご了承ください。 また、理論があっていれば、他サイトさんのレシピでもできますので、そちらでも構いません。
何より美味しい和菓子を皆さんに召し上がっていただけたら嬉しいです。
作り方
味噌餡
衛生上の問題から、特別な場合を除き工場に機器が持ち込み厳禁。
その為、画像や動画がないものが多く分かりにくくて、本当ごめんなさい。でも本気で解説していきます。絶対に美味しくて、上質なものができます!
- 鍋に水と白並餡を入れて、火にかけて練る。
★ 水は20%の量で、十分に熱を入れなおすことができます。 - 好みの固さに練り上がる直前に、みそを加えて練りあげる。(硬めに練りあげることを推奨)
★ みそが入ると焦げやすくなるので注意
★ みそ汁と同じで加えてから長く火にかけると風味を損なうので注意。 - 冷まして、20gの餡玉にして準備しておく。
柏餅 生地
- 上新粉に水をいれて捏ねる。(耳たぶ位の固さにする)
★ 最初に8割の水を加え、残りの水で硬さを調整する。周りに付いた粉もこすり付ければ、残さずきれいに取れます。 - 網布巾や目の粗い布巾を敷いた蒸し器に生地をちぎっていれる。
★ 押さえつけないで、隙間を空けていれることにより、水蒸気が入り込み、熱が入りやすくなる - 出来る限り圧をかけて、約30分蒸す。(使う蒸し器によるが、完全に火を入れなくても良い。)
和菓子屋は蒸し具合は、見た目と生地を割ってみて、その透明度で判断している。
★ 後の工程で蒸すので、ここでは90%くらい熱を入れてα化させる感じでよい。
★ ここで完全に蒸してしまうと、生地のコシが出すぎて、硬くなるので、仕上げ工程で追加で蒸す。 - 臼や容器に入れて、搗きまくる。ここで出来上がりが、ほぼ決まります。
★ 熱がぬけない短時間で生地を搗き、粒子を潰し、生地を滑らかにする。
★ 搗く道具に生地がつくので、手水で水をつけて調整する。 - 全体がある程度、滑らかになったら、水の中にいれて流水冷却する。(約5分)
★ 生地が熱すぎると気化熱で水分がなくなり、生地硬くなる。粗熱を抜く必要があるため、一度、冷やす。 - 再び、臼に入れて搗く。(よもぎを加えたり、生地を着色する時はこの工程で)
★ 引き続き、水を臼や杵につけながら搗き、餅が杵にくっつかないようにする。
★ よもぎを加えるときは、硬く絞ったよもぎを餅生地で包んでから搗く。
よもぎに水分がのこっていると、搗いた時にばらけてしまうので注意。 - 片栗粉を少量の水で溶き、まわりから加える。
★ 片栗粉(澱粉)を加えることにより、もちの歯切れを良くし、艶を出す。
★ 周りから加えて、搗いたときにはねないようにする。 - 水を加えながら、硬さを調整して、搗きあげる。
↑ よもぎ生地と白生地
★ 水分が多いと、やわらかくて、口どけが良い。作業性も良い。
★ 水分が少ないとコシ(弾力)があって、もちもちしていて美味しい。 - 水切り(植物油脂)を作業台や手につけ、
生地を35gに分割して、20gの中餡を包餡し、成形する。
両手の平で生地を俵型に丸める →
親指の付け根で手前に引き、生地を均一に楕円形に伸ばす。 (長さ9~10㎝ 幅6㎝くらい)→
左手の指の上に生地をのせ、餡をおく →
中指を浮かし、右手の親指で上から下にパタッとたたむ。 →
閉じ口を右手でしっかりとおさえてくっつける。
★ 水切りや油は手に付けすぎないようにする(生地同士がくっつかくなる)
★ 生地は乾きやすいのでビニールや乾燥しないようになにかかぶせておく。
※ 成形はとってもむずかしいので、
ちょっとわかりづらいかもしれませんが動画を下の方に載せておきます!!↓
- 布巾を敷いた蒸し器に並べ、約5分蒸す。(中の餡まで、しっかりと火が入っていればOK)
★ ここで完全に火を通すイメージです。
しかし、蒸しすぎると割れてしまうので注意。(下手くそな包餡により生地が薄い部分は割れます。)
★ 蒸し上がって泡が表面に出ていたら、送風して消す。 - 表面を送風して冷ます。皮ばってきたら、裏返して裏面を冷ます。
★ あおぐと艶が出てくる。 - 少し熱が温かい程度になったら、柏の葉を巻いて仕上げる。
★ 熱いと葉っぱがのちにくっついて食べづらい。
★ 柏の葉を水で洗ってから使用する。
★ 食中毒が非常に多いので注意する
柏餅が美味しい店
群林堂 (護国寺) 柏餅 1ヶ 170円
※ ホームページが見当たらないので、食べログのページをリンクしておきます
三大大福の一つとして降臨する群林堂。
この豆大福は、三島由紀夫や松本清張らも愛した逸品。大正初期から大手出版社の講談社や光文社の近くで、群林堂は営んできました。
手土産として護国寺で評判の豆大福は、文豪達からの人気も厚かったようです。
大福や餅菓子が美味しい店は、
当然ながら、柏餅も美味しいです。
シンプルで高品質な材料、添加物を使わない、手作りのこだわり、抜群のコスパです。
行列も絶えないですし、端午の節句は柏餅しか販売しないこともあります。
ぎっしりと入った餡の甘さが上品で薫り高く、餅生地はもちもち感と弾力が共存している絶妙な塩梅。
是非、食べてみて下さい。
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