美しくひび割れた模様が趣深い、黄身時雨。。。
由来は、冬の時雨の空の様子です。表面の亀裂で表現しています。
卵の濃くある風味と、口あたりの良さがとっても良い、和菓子屋の定番の一品です。
たまごの黄身の風味がもろに出る和菓子です。
普通のたまごでも十分ですが、こだわりたい方は美味しいコクのある卵を選びましょう!
私が在籍していた和菓子店では、奥久慈軍鶏の卵や、高いものでは磨宝卵というたまごを
使用しておりました。
私の経験からの目測ですが、
極わずかの本当に美味しい和菓子屋には水にこだわり。(製造場に水の浄化機や専用サーバーがある)
たまごは美味しいものを使う。スーパーで常温で販売しているようなものは使わない。
製造場がガラス張りでよく見える。(使っている材料や技に自信がある。見られて困るものはない)
これらがあてまはるとだいたい当たりのお店です。
話がそれましたが、美味しく、美しく割れるようにプロが目線で解説していきたいと思います。
はじめに 数ある他サイトのレシピの中から、選んで頂いて本当にありがとうございます。 このレシピは働いていた店のレシピや、既存のレシピを改良したものです。 すごい時短になったり、効率的ではないとところもあると思いますが、 それでもプロが実践していて、美味しくなる理論や科学を基に手間をかけております。 最新の情報ではないこともあるかもしれませんがご了承ください。 また、理論があっていれば、他サイトさんのレシピでもできますので、そちらでも構いません。 何より美味しい和菓子を皆さんに召し上がっていただけたら嬉しいです。 あんこまん
レシピ 約20個分
(時雨生地)
A 白あん 750g
A 卵黄 2ヶ
↓
上記のAで出来た黄身餡に対して
上南粉 2.5%
生卵黄 1ヶ~2ヶ
※上南粉がなければ上新粉でも良い。
上南粉の量は割合としては微量だが、大きく仕上がりに影響するので注意が必要。
多いとつなぎとして強くなるが、粘りがつきすぎて硬くなる。
少ないと製品が崩れやすくなる。
2.5% は もっとも一般的で3% だと 多い。
(中餡)
小豆漉し餡 300g
※ 餡玉15gにして事前に準備しておく。
※ 市販の漉し餡購入してもOKです。
手作りされる場合は小豆しあんの作り方はこちらです。
生地25g 中餡15g で包む
作り方
(時雨生地)
- Aのレシピで黄味餡を焦がさないように硬めに練りあげて、冷ます。
練り上がり目安は手の甲に餡をくっつけて、付着しない位かそれよりもやや硬め位。
詳しい黄身餡のつくりかたはこちらの記事でご覧ください。
★ この工程による出来上がりの影響は大きいので慎重に。 かなり焦がした場合はふるいに通して、使用すると良い。 - 1で出来た黄身餡量を計り、上南粉を計算、計量する
(例 出来た黄身餡1350g × 2.5% = 33.75 上南粉量 33.75g) - 黄身餡に生の卵黄を加え、木杓子で切るように混ぜ、生地の固さを調整する。
★ 初めてやる人は、はっきり言って調整は難しいです。でも、できたらすごいです!
★ 生地の固さと粘り具合で蒸し時間が大きく変わる。
生地が固いとすぐに蒸し器で圧をかけると割れる。やわらかいとなかなかひび割れない。 - 上南粉を加えて、手をしゃもじのように、斜めに切るようにして混ぜる。
溶けないので混ざるだけでよい。生地は完成!
★ ここでの上南粉の役割は、蒸気にかけ、程よい粘り具合出し、綺麗にひび割れさせる役割。
上南粉自体がα米の粉(加熱してあるのでそのまま食べれる)なので、蒸気や火にかけて、熱をいれる必要がない。 - 布巾で手を拭きながら、生地を25gに分割、中餡は15gで包む。
キッチンペーパーや乾いた藁半紙などを敷いた蒸し器に包んだ時雨を置く。
★ くっつかないので手粉を使用しなくてよい。
★ 敷く紙は水分を吸収するものおすすめ。セパレートペーパーだと水滴がたまり、時雨がぐちゃぐちゃになる可能性があり - 蒸し器に火をかけて、表面の割れ具合を見て、蒸し上げて完成!(だいたいやや強火で5分位)
★ 蒸気が強いとひび割れが大きく。弱いと小さく。うまく調整する。
時雨は風にあたると乾きやすいので注意する。
出来上がりはパサパサしているが、翌日は、水分移行による菓子の水分量が安定し、しっとりしていて美味しいです!
ポイント
表面がうまく割れるかは黄身餡の火入れ具合にかかっています!
初めての方は塩梅の比較できないので挑戦として記録をし、2回目からうまく調整しましょう!
3,4の工程では、揉み混ぜたりして、粘りを出してはいけない。粘りが強いと出来上がって冷めると
固い仕上がりになる。
黄身時雨が美味しいお店。
岩手県の契約農家から届く卵、香り高い北海道産小豆、伝統の手づくり製法の徳島産の和三盆、
どれも素晴らしい素材を使いました と記載。
きみしぐれがこんなにも強いお店は日本全国みてもなかなかないですよ。
取扱店舗は多く、容易に入手できますが、
手作業による製法なので、容易にこのお菓子はつくることはできないでしょう。職人技が光る一品です。
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