和菓子屋さんでは、毎日のルーティンのように怒号や煽る言葉がよく飛び交いますが、
専門用語も良く使うことが多いので解説していきます。
動きの言葉
塩梅をとる | 良い具合に調整すること。 |
あたる | 焦がすこと |
火取る | 餡を硬めに練ること |
でっちる | 揉みこんで生地を均一にまぜること |
浮く | 菓子が膨らむ、膨張すること。 |
泣く | 水分が菓子の表面に落ちたり、餡から染み出て表面が水っぽくなること 製品が吸湿してべたべたになること |
落ちる | 一度膨らんだものが、萎むこと。 |
しゃる | 砂糖の結晶が生じ、羊羹や餡の表面が糖化すること。 砂糖が多すぎたり、糖度が高い菓子の表面に出やすい。 |
天焼きする | 平鍋に押し付けて、菓子の天辺に焼き目をいれること。 |
泡きり | 生地を混ぜて、気泡を潰すこと。カステラでよく使う。 |
ふを切る | 小麦粉のグルテンや、粘りなどをなくすこと。 |
ふが出る | 小麦粉のグルテンなどで生地に粘りがでること。 |
撹拌する | 混ぜる。摺り合わすこと。 |
あおる | 仕事をせかすこと |
おちる | 一度膨張したものが、萎むこと。失敗のケースが多い。 |
天プラする | 羊羹やチョコレートなどを製品の周りに衣掛け(コーティング)すること |
コシが抜ける | 寒天などの凝固力が弱まり、粘りや弾力がなくなること |
グラスがき | 羊羹を溶かして紙筒などにいれて、文字や模様を描くくこと。 他に餡グラス、砂糖グラスなどの言葉がある |
湯煎する | お湯の上に容器をのせて、熱をつけること。 |
岡混ぜする | 容器や作業台の上で餡や砂糖、粉を混ぜ合わすこと。加熱しない。 |
イラ引く、エラ引く | 摺り蜜に微熱をつけて、製品に刷毛塗りすること。 |
専門的な和菓子の 言葉
サワリ | 銅製の鍋。餡を練ったりする丸鍋。ほぼすべての和菓子屋にある熱伝導率のよい鍋 |
ワタシ | 出来上がった和菓子などをとる木製の正方形の容器。底は、すのこ上になっている。 |
カード(スクレーパー) | 生地を残さずとったり、表面の地均しに使える万能器具。 |
水板(取板) | 木製のアーチ状の板。羊羹をカットしたり、製品を置いたり、多用途。 |
朝生(朝生菓子) | その日に売ることを目的とした、朝から作られる菓子。団子や大福、葛菓子など 日持ちも当日中の菓子を指す。浅生とも言う。 |
中生 | 朝生に対して、日持ちする菓子。蒸し菓子や焼菓子にあたる。 |
生菓子 | 出来上がりの菓子の水分が30%以上のもの。 4.5%以下が干菓子 4.5%~30%が半生菓子。 |
上生菓子 | 生菓子の中でも特に上等な菓子。職人が手で丁寧に作り上げ、季節を感じる趣を 取り入れる。また、菓銘(かめい)という菓子に名前を付けられる特徴がある |
生餡 | 小豆を煮て、皮を取り除いて漉して、硬く絞った状態のもの。 呉とも言う。 |
並餡 | 生餡に対して、砂糖(糖分)70%以下で練りあげた餡のこと。 主に55~60% の割合が多い。 |
中割餡 | 生餡に対して、砂糖70%加えて練りあげた餡のこと。 |
上割餡 | 生餡に対して、砂糖75%以上加えて練りあげた餡のこと。 |
求肥(ぎゅうひ) | もち粉や白玉粉を餅にして、砂糖を加えて加熱しながら練りあげたもの。 |
雪平(せっぺい) | 求肥に卵白や少量の白餡を加えて、より白く練りあげた餅生地のこと。 |
桂皮抹 | ニッケ、シナモンのこと。 |
生麩 | 小麦粉の粘りの成分。グルテンと呼ばれるたんぱく質のこと。 |
村雨(むらさめ) | 菓銘にひとつで、餡に米粉を加えて混ぜ、使い方に応じた形で蒸したもの |
黒須 | 深煎りしたきな粉のこと。色と香りが濃いのが特徴。 |
浮島 | 餡の中に卵黄と砂糖、米粉、小麦粉、卵白などを加えて、蒸したもの |
桃山 | 白並餡に卵黄、寒梅粉、水飴などを加え混ぜ、焼いたもの。 |
和三盆 | 原料はさとうきび。讃岐地方のみで独特な製法でつくられる最高級の砂糖。 |
みじん粉 | もち米を餅にし、せんべいの様に白焼して、その後に粉にしたもの。 |
こなし | 白並餡に小麦粉を加えて、蒸したもの。 関西や京都では練り切りの代わりに扱うお店が多い。 |
手形もの | 手技のみで、形どってつくる菓子のこと。作り手の個性が光る上生菓子のものが多い。 |
割り | 砂糖の事 |
コシ(腰) | 粘り、弾力の事 |
同割 | 砂糖と粉量が同じこと。また材料同士の比率が同じこと |
三同割 | 砂糖、粉、卵の量が同じこと。どらやきの基本配合 |
共立て | 卵(卵黄と卵白)と砂糖を一緒にして泡立てる事 |
別立て | 卵黄と卵白を別々にして、それぞれ砂糖と泡立てる事 |
中綿 | 練り切りの中の餡(中餡)のこと |
やく(薬) | 膨張剤のこと。BS(重曹)、BP(ベーキングパウダー)など |
スリブタ | セイロの上にのせる蓋。蒸気が逃げないようにするため。または圧力の調整 |
セイロ | ボイラーのセロベータ―等にのせて蒸すための蒸し器。 |
平鍋 | どら焼きなどを焼く、平らな銅板、鉄板(一文字) |
火床 | 平鍋をのせる火床 |
タンポ | ミキサーで泡立てるのステンレスの深いツボのようなボールのこと |
泡だて器 | ホイッパーともいう |
ボール | 生地を捏ねたりする金属製の容器。ステンレス製が多い。熱伝導率は悪いので加熱には向かない。 |
餡鉢 | 練り上げた餡を入れる容器 |
番重 | 出来上がった製品の保管、または運版するために使われる容器。 練り上げた餡をいれることも多い。 |
ラッパ筒 | 羊羹など、流動状のものを流しいれる器具。ドロッパーともいう。 |
餡ベラ | 包餡、細工用に使われる細い長いヘラ。竹べら、金ヘラもある |
水ます | 水を計量する目盛のある取っ手付きのコップのような器具 |
どらさじ | どら焼きの生地などの軟らかい生地を掬って流す器具 |