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疑問・悩み・質問などのお問い合わせいただいた中の回答を
記載していきたいと思います。(随時更新中)


初めまして。
時々読んでワクワクさせていただいています。
あんこと言うか茹で小豆についてお聞きしたくてメールしました。
私自身は茹で小豆が好きで自分で炊きます。
段々面倒になってきていきなり圧力鍋で。
砂糖もダイレクトな甘さが苦手になってきてグラニュー糖を甜菜糖に替え、
渋きりしない方が小豆の味が強くて好みかも!と気付いて以降、茹でこぼしも無しで。
茹でこぼししないので、時々灰汁の味が強く出ることもありますが。
でもどのレシピにも、小豆好きな友人たちも、茹でこぼして灰汁を抜くと言っているので
茹でこぼしをしないことをすごく恥ずかしいなと思っていたのですが
以前にNHKを見ていて、あんこの神様だったか小豆の神様だったか、
というあんこの達人の方の炊き方は渋きりしておらず、
「渋なんて切らなくていいんだよ。その方が小豆の味がしっかりする」と言っていました。
私は小豆の味が欲しくて茹でこぼしをしていないので、
あんこの神様の言葉を聞いてやっと同士が見つかったような嬉しさがありました。
その方はプロなので私のように灰汁がわかるような仕上がりではないと思います。
でも渋きりせずとも灰汁の味がしない方法があるなら、小豆の味を立たせたお店やお菓子があってもいいんじゃないか?
と思うのですが、一般的には渋きりをしますよね。
Q それはやはり多少であっても小豆の灰汁は和菓子の味にとっては悪で、茹でこぼしをしないと絶対に灰汁の味がするものなのでしょうか?
小豆の味をあっさりさせる為でしょうか?
それとも味ではなく、日持ちというかあんこの劣化に関わるのでしょうか?
そもそも、強い小豆の風味は喜ばれないのでしょうか?
お茶菓子を作っている和菓子屋さんに聞く機会があったのですが、鼻で笑われてしまって。
手抜きしたいからではなく、小豆味の強弱について知りたいなと思っています。
よろしくお願いします。
余談です
私は大田区に住んでいます。
羽田の玉川屋へはたまに行きます。
ここのみたらし団子が大好きで。どら焼きもお饅頭も好きです。
売り切れていたら「お時間かかるけどいい?」って2本だけでも焼いてくれるところも好み。
でも蒲田にはみたらし団子で有名なお店があるし、どら焼きも京急沿線に銀座もあるし上野もあるし。
まさか「とてもおいしい」と取り上げられる記事を読むことがあるなんて思いもせず、
とてもうれしくなり、あんこまんさんのお菓子も食べてみたくなりました。

A 質問ありがとうございます!
回答が遅くなり申し訳ございません。。
結論から言うと、
①灰汁は悪ではありません。
②茹でこぼししないと、灰汁の味はほぼします。(品種状態による)
③強い小豆の風味は、美味しい状態であれば喜ばれます。
④日持ち、劣化にはあまり関係ない。
①灰汁の主成分であるサポニンに毒性があると思われていますが、大分前に、近畿大学の調査で、ほぼ害はないことが分かっています。(クリックで論文を表示)
昔からの和菓子屋さんはその事実を知らないことも多いです。
害はないけど、渋み・苦み・えぐみがあり、人によって不快感が出ると思います。
食べてもらってお客さんに何かあると困るので、無難に渋きりをしている所が多いです。
私は栄養があるとずっと思っているので、気にしていません。
小豆の品種や状態により、灰汁の出方が違います。
ベストな小豆を選び、煮方をすれば、灰汁抜きしなくても、
小豆の豊かな風味となり、良い餡ができると思ってます。
②渋きりをしないと、灰汁の味はほぼします。
これまでの経験で、いろんな品種の小豆の煮て食べて、渋きりなしの場合に灰汁の味がしないケースがない。
小豆の皮にサポニンが含まれていない品種がない限り、味はするでしょう。
和菓子屋さんが渋きりをするのは、あっさりした上品な餡にしたい意図があるからでしょう。
質問者様のような、小豆の強い風味が好きな人は、私の見解では、少数派かもしれません。
特に高齢者は渋い、小豆の風味が強い餡が好きで、若い方ほど、すっきりとした味を好む傾向があります。
③不思議なことに、同じ小豆、同じ材料で、炊いても、作り手によって、出来上がりに差が出ます。
特に火加減、ヘラの入れ方、時間タイミングの違いで仕上がりが顕著に変わります。
灰汁を大量に抽出しても、美味しい餡はできますよ!
あとは、好みです!
④日持ち・劣化に関しましては、灰汁はあんまり関係ないと思います。
劣化=菌の繁殖の原因は、水分が鍵です。
餡の構成分子「餡粒子」の中にどれだけ「結合水」を構築できたかによります。
菌が自由に動き回り、繁殖できる水を「自由水」と言い、砂糖と水、餡粒子が結合し、菌が身動きがとれない状態を「自由水」といいます。
砂糖と水、餡を加熱し、適切に混ぜると構築できます。
上手くいかないと、離水といい、仕上がった餡から時間と共に水分が出てきます。
灰汁の成分はこの件に関して、関与はあまりしていないと思います。
おこがましいですが、「強い風味の小豆にしたい」アドバイスとしては、
家で作るなら、自分の好みに合わせて渋を切らない。
水は良い軟水を使用してください。
圧力なべを使った作り方に関しては勉強不足なので、申し上げられませんが理論は知っているので、
良かったら参考にしてみてください。
強い風味で美味しいのをたいなら、値段が高いですが、丹波大納言の小豆が、最高格です。
和菓子屋でも、この小豆は高いのでなかなか手を出しません。
当店は北海道産のホクレンの小豆「雅」か「しゅまり」を主に使用しています。例年状態をみて判断しています。
バランスが良く、比較的に手軽で扱いやすいので、渋きりなしで小豆の風味を出したい時も、渋きりをたくさんして
スッキリした餡にしたい時にも最適だと思います。
羽田の玉川屋さん良いですよね!!
おっしゃる通り、人当たりも良くて素敵です。
とても感動したので記事にしました。(クリックで玉川屋の紹介記事に移動)
一般の人には、そこら辺にある町の和菓子屋さんに思われているかもしれませんが、
本物の美味しい和菓子、あんなに良心的な価格で出しているお店なかなかありませんよ。
プロから見ても素晴らしいお店です。もっと評価されるべき店です。
あの立地で長い歴史があるのは、和菓子を食べてみれば分かります。
長くなりましたが、参考になれば嬉しい限りです。
引き続き、どうかこのサイトをよろしくお願いいたします。

Q コロナで和菓子屋さんが、具体的にどんな影響を受けたか教えて下さい。
また、どんな対処をしたか知りたいです。

A 質問いただきありがとうございます。
結論から言いますと、年間売り上げは13%減と言う結果になりました。
※ あくまでうちのお店の場合です。
2020年3月からのコロナショックから1年間ごとに算出したデータでは、
コロナ以前の1年間の売り上げより12~15%減という結果です。
全体ではこの数値ですが
贈答用の商品(最中、焼菓子)の売上 35%減↓ (通年比)
出店中止、催事、学校行事の中止の影響で売上 21%減↓
節句の和菓子(桜餅、柏餅)、季節の和菓子の売り上げ 34%増↑
配送サービス、配達依頼 23%増↑
客数 4%減↓
客単価 12%増↑
平日や繁忙期でない日の売り上げ、客数はめちゃくちゃ減りました。
贈答の機会もなくなり、最中や贈答品が主力の私の和菓子屋さんでは致命的。
しかし、お客さんの家から出れないのストレスが爆発した様で
季節の行事などで、店に買いに来る人は激増しました。
特に、柏餅、桜もち、いちご大福の時期は客数は激増しました。一年間では減ですが、
12月~5月にかけては、客数は多く、爆買いで単価も高かったです。
そのおかげでなんとか持ちこたえた感じです。
宅急便の利用と、配達注文も多かったです。
コロナ禍において当店でした対処法としては、
キャッシュレス決済の強化。
一部事前の予約制の導入。
SNSでの情報発信の強化
提供スピードの改善と工夫です。
ほとんどの飲食店がやったこととあまり大差はありませんが効果はあったようです。

Q. 和菓子業界で働いてみたいのですが、なかなか1歩が
踏み出せません。
和菓子で働くって将来的にこれからどうですか?
また、30代未経験で脱サラして一から始めて、できるものでしょうか?

A . 質問ありがとうございます。
結論から言うと、和菓子業界での未来は明るいと思います。
また、脱サラして、未経験でも全然大丈夫です。
理由① コロナや不況下においても贈答品としての和菓子の使用の頻度は激減するが、
自宅用で買われたり、嗜好品でありながらも需要がかなり高い。
理由② 高齢化・健康志向、和菓子への関心が高まってきている。海外でも人気。
理由③ 日本の気候風土に合わせた独自の文化である。廃れる事は考えづらい。
海外事情で石油高騰や輸送費でのコストはかかるが、小豆や材料そのもの
が国産のものを多く使用している。
海外事情による影響を他の業種と比べ、そこまで受けづらい。
理由④ AIや機械化できない分野がある。職人としての需要がある。
レオンなど包餡機、大手企業が和菓子に参入していて機械化が進むが、練り切りなどの手作業による上生菓子
など、作り手の感性が反映される菓子の魅力は機械では表現できない。
理由⑤ 私が調理学校に通っていたときに35歳で脱サラして学校に通っていた同級生がいました。
その方は卒業後、和菓子店に何年か就職し、その後4歳で独立してお店を出しています。
家族や子供もいて幸せに暮らしていますよ。和菓子が好きであれば、年齢関係なく参入できると思います。
薄利多売の商売スタイルが多く給料はそこまで高くない。
会社や店で勤めているときは経営学や、技術を学び、独立して利益を出せば、
家族を養っていくことは可能です。もちろん、真面目に作って経営することが前提。
とはいえ、和菓子業界も淘汰されてきています。適当な和菓子を作っていたら簡単に潰れてしまいます。
ですが、真面目に学んで、働いていれば、和菓子と共に楽しく暮らしていけると思いますよ。
他にも理由はたくさんありますが、この辺にさせていただきます。

10代 男
Q和菓子職人を目指している高校生です。いつかは独立がしたいです。
高校卒業後は和菓子の店や企業に就職しようか、和菓子の専門学校で学ぼうか
迷っています。どうしたら良いでしょうか?

A質問いただき、ありがとうございます。
将来、店を出したいなら、和菓子の専門学校に行った方が良いと思います。
理由① 専門学校卒業後も転職、開業などフォローアップがたくさんある。
理由② 普通の学校の先生とは違い、専門店や和菓子店での経験、社会経験がある先生が在職しています。
将来に生きた指導が期待できます。また、生々しい情報や聞きたいことも答えてくれるし、
一生の繋がりになるから。
理由③ 同級生がいることで切磋琢磨でき、困ったときは助けてくれたり、情報共有できたり、
横のつながりが出来て楽しい。
理由④ 和菓子の正しい基本・理論。正しい基盤ができる。視野が広がる。
だいたい2年制のところが多いようです。学費もそこそこ高いので、余裕がない人は、昼間は和菓子店で
働きながら、夜は夜学に通うという選択肢もありますよ。東京製菓学校などは和菓子専門の夜学があるそうです。
店や企業に就職するのも良いですが、そこの親方、師匠、会社の考え方があなたの今後の和菓子観の基盤となる可能性が高いです。
悪い場合は、そこの社会でしか通用しない考え方に知らずに染まっていって、次の転職先や、
店を開業した時に、従業員を雇ったときにトラブルが発生しかねません。
話の分かる同業者の相談相手もいないので、自分でコントロールすることになるかもしれません。
良い師匠や会社に巡り合えばよいのですが、保証はありません。
和菓子業界の在り方は多種多様です。アンテナを張っておけば、善し悪しは別として、あなたの価値観が根底から変えるほどの出会いやチャンスがあるかもしれません。常に視野は広くしておくことおすすめします。